瀬戸内海一周旅行20:徳島ユースホステルと幻の景色編

徳島ユースホステル

瀬戸内海一周旅行19からの続きです。

四国を左から右に横断するようにして移動してなんとか徳島市に入ったはいいものの、徳島市内で盛大に迷ってしまって予定していた宿泊地の徳島ユースホステルにたどり着いたのは午後4時半ごろになりました。

このユースホステルは徳島湾の近くにある小さな山の上にある公園の中に存在します。思った以上に大きな建物でした。とりあえず入り口の近くに中に入っていきました。

徳島ユースホステル

すると中に2人ほどの人影が見えます。あいさつをするとここの管理人をしている男性とその奥さんでした。そして、まず最初にした会話が「もう来たのか、悪いけれど今から出かけるから君も宿から出ていってくれ」というものでした。どういうことかと思って話を聞くとどうやらこの日は私以外に宿泊客がいなかったようです。そして、私の到着はもっと遅いだろうと考えていたようでまさに今から出かけようかと考えていたところだったようです。

このタイミングでたどり着いたのは運が良かったのか悪かったのか分かりませんが、とりあえずは出ていかざるを得ないためこの後どうするかを考えねばなりませんでした。まず第一に考えなければならないのは晩飯についてでした。ユースホステルでは食事を頼んでいなかったのです。全く下調べしていなかったのですが、この公園にまで登ってくる間夕食が食べられそうな店というのは皆無でした。そのため、一度山から下りて食べに行かなければなりませんでした。

管理人さんにどこかいい店はないかと尋ねると「下まで行けばすき屋があるよ」と言われます。倉敷のユースホステルでは一番にジョイフルが出てきたことも考えるとユースホステルの利用者はやはり倹約して旅をしているのでしょう。しかし、せっかくの旅行ですしカロリーも大量に補給しなければならなかったのでほかの店はないかと尋ねました。

話を聞くとユースホステルの前にあるバス停からバスに乗れば徳島市内まで行けるようです。おいしい店なら市内まで出たほうが見つけやすいということでした。ですが問題があります。それはロードバイクで着いたばかりのサイクルジャージやレーパンの姿ではさすがにそこまで行きづらいということです。

結局、考えに考えた末に出した結論は近くのスーパーまでいって惣菜を買ってきて食べるということでした。もともとその地方のものが食べたいという思いがあったので地元のスーパーならばいろいろあるだろうと思ったのです。ちょうどスーパーも山から下りてすぐにあるということだったのでそうすることにしました。ロングライドの後のリカバリーとして歩くのも必要だったのでちょうどいいだろうと考えます。

スーパーに行くことを伝えると出かけるついでにそのスーパーまでは車で送ってくれることになりました。クリートの付いたシューズでは歩きにくいのでサンダルまでお借りして車に乗り込みます。軽くおしゃべりしながらスーパーまで行きました。どうやら出かけるといっていた管理人も奥さんを自宅まで連れて行くだけだったようで30~40分もすれば戻ってくるようです。買い物をして歩いて帰ればそれほど待つ必要もなさそうでした。

地元のスーパーで徳島ならではのものを買おうと思ってはいましたが、実際に店に行ってみると調理せずに食べられるものというのはあまりおいていないようでした。仕方がないのでそのまま食べられるものを中心に選ぶと揚げ物ばかりとなってしまいました。徳島らしさは皆無です。

買い物を済ませたらテクテクと歩いて山を登っていきます。これが思ったよりも距離があって大変でした。しかも予想外だったのが「下りがしんどい」ということです。長時間ロードバイクに乗った後でも歩くのは使う筋肉が違うからかあまりしんどさは感じないのですが坂を歩いて下るときには脚の筋肉が悲鳴をあげました。ユースホステルへは登った後に1km弱ほどの下りがありそれが思った以上にしんどかったです。

予想外のダメージに見舞われながらなんとか宿に帰ってきたころに管理人さんが乗った車が追い抜いていきました。ちょうど帰ってきたようです。

宿に入ったら部屋に案内してくれました。といっても私以外誰もいてないためすべての部屋の中から好きな部屋を選んだ入っていいということだったのでベッドではなく畳の部屋にすることにしました。その後は風呂に入ることにします。

ここはお風呂に入るにはボイラーのスイッチを入れて湯を出す必要があるので準備が必要になるためいつ入るのか時間を指定してくれと言われます。長時間走行の後30分以上歩いたので今すぐ入りたいと告げておきました。風呂場でジャージを脱いでビブタイプのレーパンだけの姿をみた管理人さんが「今からレスリングでも始めるのか」と言ってきます。それまで考えたことがありませんでしたが確かにレスリングの格好だなと思ってしまいました。

風呂に入ってさっぱりしたら時刻は5時45分くらいになっていました。まだ外は明るく夕食にするにも早いかなという感じです。そこで管理人さんに面白い話を聞きました。このユースホステルのある公園は海にも面しています。ちょうど宿の前に小さな湾がありそこに砂浜が広がっているのです。

徳島ユースホステル前の海

管理人さんに聞いた話ではなんとこの日は特別な景色が見られるというのです。それは月の出に関係することだそうです。というのも1年のうちで2~3日だけ左右に山があり正面の砂浜の向こうにある水平線から月が上がってきて海面に光が反射して幻想的な景色が現れるというものでした。ちょうどこの左右の山の間から月が登ってくること自体が珍しいのに加えて、晴れており風が強く雲が流されている日でなければ見られないのだそうです。

そして、まさにこの日はその条件に当てはまるため見ることができるぞと言われたのはいいのですが、肝心の月の出の時刻が分からないといいます。新聞を見ても乗っていなかったので、待っていればそのうち出てくるだろうと思って缶ビールを片手に砂浜であたりが暗くなるのを待つことにしました。

しばらくすると管理人さんもやってきてほとんど一人でしゃべり続けていました。どうやらこの管理人さんはなかなかスケベなようです。聞いてもいないのに「阿波踊りの時期になるとユースホステルにもたくさんの観光客が泊まりに来て男女混じって川の字になって寝ることになる。関東などからべっぴんさんが1人旅に来るケースも多いからベッドの部屋よりも大広間のほうが人気になることもあるよ」などと教えてくれました。

そんなこんなで話を聞き続けてあたりは次第に暗くなってきます。缶ビールを飲んだこともありだんだんと寒くなってくる中を粘り続けましたが結局月が水平線から顔を出すところは見ることができませんでした。7時20分まで粘ってギブアップ。宿に戻って冷えた体をいたわっていると7時40分ごろに月の光が空に現れました。どうやら昼間はほとんど雲が無かったのですが暗くなり始めたころから上空のほうでは厚い雲が覆っていたようで月が見えなくなっていたようです。本当にシビアな条件でしか見ることができないのだなと残念でした。

その後はスーパーで買っておいた夕食を食べて翌日の予定を立てます。いよいよラストの4日目は徳島港からフェリーに乗って大阪まで帰ることになります。できれば奈良を通って帰りたいという思いもあり8時15分出発するフェリーに乗ることにして10時半ごろに就寝しました。長かった自転車旅行もいよいよ終わりが近づいてきました。

続きます。

目次

  1. 自転車旅行計画編
  2. 大阪~神戸編
  3. 明石~加古川~姫路編
  4. 恐怖の船坂トンネル編
  5. 備前市を越えて岡山後楽園での昼食編
  6. 一泊目目標地点のの倉敷ユースホステル到着編
  7. 倉敷の街とユースホステル編
  8. 倉敷の歴史について編
  9. 2日目の倉敷~尾道編
  10. しまなみ海道と人との出会い編
  11. しまなみ海道の本当の魅力編
  12. しまなみ海道中盤編
  13. しまなみ海道~鈍川温泉カドヤ別荘編
  14. ロードバイクにやさしい四国の旅館編
  15. 3日目の出発直後に起こったトラブル編
  16. 四国は自転車のメッカになれると感じる讃岐街道編
  17. 10kmアウターヒルクライム編
  18. 昼食・昼寝とその後の状況変化
  19. 空気の壁に激突しながら徳島到着編
  20. 徳島ユースホステルと幻の景色編
  21. 迷いに迷った南海フェリー編
  22. 和歌山港~大阪帰宅編