本州最南端旅行5:刺さる視線と大きな誤算編

昼食での一コマ

本州最南端旅行4からの続きです。

田辺市で何とか予備のタイヤとチューブを購入することに成功して一安心できました。この時の時刻は12時前。田辺市に着いたのが11時過ぎくらいだったので思ったよりも時間がかかってしまったことになります。

本来ならば早く先に進む方がいいのでしょうが、田辺を過ぎてしまうとまたアップダウン区間に入ってお店などが無くなってしまうことも考えられます。そこで、ここらで昼食をとっておくことにしました。ここまで来てコンビニで食べ物を買って食べるだけというのもあれなので、どこかお店にでも入ろうと探しながら走っていきます。

キョロキョロと見渡しながらゆっくりと走っていましたが、通った道路には喫茶店ばかりでした。さすがに喫茶店で高いお金を払ってサンドウィッチを食べるのはエネルギー不足になりかねません。どこかいいところはないかなと思ったところに「日替わりランチ」と書かれたのぼりを立てているお店がありました。ここでいいかと思い、入ることにします。

店先にロードバイクを停めて店内に入っていきます。扉を開けてヘルメットを脱ぎながら店に入った瞬間、店内にいた人の視線が一斉に私の方に向きました。

変なヘルメットを手にして全身ピチピチのタイツみたいな恰好をした男が食事処に入ってきたことにより、店の中にいた人間はみな「なんだこいつは!?」と思ったのでしょうか。刺さるような痛い視線が向けられたのです。少しの間をおいて女性店員さんが「あっ・・・おひとりですか?こちらにどうぞ」とカウンター席に案内してくれました。何となく変質者というか不審者でも見たかのような視線に心が痛みました。

なんだかんだで大阪などではロードバイクに乗っている人の数が増えたため、「ああ、自転車に乗っているやつか」と店に入ってもわかってもらえることが多かったのですが、この辺りではまだまだ市民権を得ていないのだろうなと感じました。せめて不審者ではないことをアピールするかのように、なるべく堂々とした雰囲気を出すように注文をして食事を待ちます。

ここで、ハンドルに取り付けてあったサイコンを外して持ってきていたのでリュックから取り出したバッテリーにつないで充電しておくことにしました。私の持つサイコン(ASG-CM31)は11時間くらいしかバッテリーが持たないため長距離を走るときには途中で充電しておく必要があるのです。この時にここまでの走行距離を見ると約170kmくらいになっていました。

しばらくして出てきたランチを食べながら地図を見ます。大阪からここまで結構走ってきましたが、まだ残りの距離も結構あるなとかんじました。最初の頭の中での予定では2時くらいには目的地の串本近くにまで行けている予定で、時間があれば海の見える木陰で昼寝でもしていこうかと思っていたのです。しかし、道に迷ったりパンクしたり、ロードバイク用のタイヤを売っている店を探したりと今回は思わぬトラブルが発生していてとても2時にはつかないだろうと思いました。

それでも、ここまで170kmくらい来ているならば残りは60km程度で問題ないだろうと思っていたのです。しかし、食事をしながらふとこの残り60kmというのは本当にあっているのだろうかと疑問に思いました。そこでスマホを使って現在位置から串本までの走行距離を算出してみることにしました。すると残りの距離は「70km」と表示されています。たった10kmの違いですが、疲れが見え始めて体ではこの10kmというのはかなり大きな差になってきます。何よりも1日の走行距離が240kmを越えることになるのです。過去最高の走行距離が200kmの私にとって、まだ2日目3日目が残っているのにこんなの困るよという思いになってしまいました。

ランチを食べて再び走り始めるために外に出ます。が、店内にヘルメットを置き忘れてしまっていたため、再び店の中に入りまた気まずい空気を作ってしまいました。「すいません」と謝りながらそそくさとヘルメットを回収し、気を取り直して走り始めます。

が、その前にドリンクの補給のためにコンビニに立ち寄ります。ついでに先ほどの店では行っていなかったトイレにも行っておきました。おいしい料理が出てきたのですが、お腹がパンパンに張っていて食べたら口から出そうなほどだったのですが、それがここですべて出てくれました。おかげでリュックについているウエストのベルトがトイレに行った後にはブカブカになるほどでした。自転車旅行に行くからと数日前からたくさん食べていましたが、お腹の中に重りとして残っていたんだなとこの時になって気がつきました。

さて、出すものをすべて出して補給も済んだので今度こそようやく再スタートです。再び42号線へ合流してそこから串本へと向かうことにしました。

しかし、42号線に入るまでもかなりきつい斜度の坂があり、さらに42号線に入ると標識に「バイパス」と書かれていたりします。休憩をとった後で体が緩んだのか、気持ちが弱気になってしまいます。「本当に走り切れるのか」とか「もしものことを考えてタイヤを買った店に戻って輪行袋でも買ってきた方がいいんじゃないか」とかいろいろなことが頭に浮かんできてしまいます。

幸い、バイパスに入るようなことはなく42号線はロードバイクでも十分通行することができました。また、田辺までずっと続いていたアップダウンがこの後も続くのかと思っていましたが、ここからしばらくはそこまでアップダウンが無く比較的楽に走ることができ気持ちよく走れるようになってきました。

平坦基調の道を景色を見ながら淡々と走り続けます。しばらくすると道路に出ている標識に「白浜」という文字が見えてきます。42号線から右折していけば白浜へと通じているようです。大阪からならば自転車旅行としてはこの辺りまでを目的地にした方がよかったのかもしれないなとも思ってしまいます。しかし、すでに串本に宿をとっているためここで停まるわけにはいきません。先へと進んでいきます。

白浜を越えたあたりからは再びアップダウン区間へと変わりました。ここまでのアップダウンでは脚が自然に回るようにギアチェンジをしていましたが、それでも短い登りはアウターでクリアして走っていました。ですが、ここからはさらに疲れないようにちょっとした坂でもインナーに落とすようになりました。

この走り方だと確かに脚に負担がかかりにくいのですが、ちょっとした坂でインナーに落とすためにそのたびにスピードは20km/hを切ることになります。また、お尻の痛みが若干出始めたかなという感じだったので、下り区間はペダルを回さずにお尻を浮かして下るようにしていたため走行スピードがガクンと落ちてしまいました。

これは思ったよりも到着まで時間がかかるかもしれないと感じ始めます。ただ、サイコンをバッテリーにつないで充電するためにリュックのポケットに入れていたためスピードはおろか現在の時間さえわかっていませんでした。そこで、しばらく走って見えてきた道の駅で休憩をすることにしたのです。

道の駅の名前は「椿はなの湯」というところです。温泉でもあるのでしょうか。停まったら真っ先に自販機に駆け寄ってスポーツドリンクを購入して飲みます。ペットボトルを一気飲みしながらリュックに入っていたサイコンを取り出して操作します。ここまでの走行距離は196kmとなっていました。

ここで再び大きな誤算が発生します。というのも、この道の駅の前の道路には標識があり、その標識には「串本 54km」と書かれていたからです。足し算するとちょうど250kmになってしまいます。昼食時にスマホで確認したのになんで10kmも増えているんだと仰天してしまいました。

当初の予定では220kmだったため、心の中では「200kmをちょっと越えたくらいだろう」という認識でした。しかし、250kmとなると四捨五入すると300になってしまうため精神的にかなりの差に感じられました。この標識のいう串本は私の予約した宿からどの程度離れているかによっては下手をすると260kmを越える可能性もあります。今年に入って全然走っていなかった今の体で走り切れるかどうか不安になってきてしまいました。

不幸中の幸いというか、1年前に多さから岡山の倉敷まで走った時とは違うこともあります。倉敷までは200kmでしたが180kmほど走った岡山城あたりでは暑さにやられて恐ろしく体力を消耗していたことを思い出します。その時とほぼ同じ時期を走っている今回ですが、この時はそこまで暑くなかったためか熱中症になりそうな感じはほとんどありませんでした。まだ走れるという感じはあります。

1日の走行距離としては大誤算でしたが、「ここまで来たら今まで何km走ったかは関係ない。あとたった50~60kmで目的地に着くんだ」と心に言い聞かせて再び自転車にまたがりました。本州最南端旅行6に続きます。

目次

  1. 自転車旅行準備編
  2. 初日に和歌山に入る前にいきなり道に迷ってしまう序盤編
  3. 絶望的な気分に陥るトラブル発生編
  4. バーストを心配しながら田辺へ向かう編
  5. 大きな誤算と刺さる視線編
  6. 椿はなの湯から串本到着編
  7. 貸切状態のドミトリーと露天風呂編
  8. 景色を見ながらの串本から新宮編
  9. 熊野川を眺めながらの快適ライド編
  10. ついに現れた登りとクリート問題編
  11. ライダー宿泊プランと続クリート問題編
  12. 予想外の始まりを告げた3日目編
  13. 目指せ天川村編
  14. トンネルの恐怖と無駄な頑張り編
  15. ラストのゴールと旅行の総括編