本州最南端旅行14:トンネルの恐怖と無駄な頑張り編

下りを快走

本州最南端旅行13からの続きです。

行者環トンネルからの細くて長い下りを時間をかけて下ってきました。ようやく天川村に着いたので少し早いですが何か食べておくことにしました。1日目2日目と補給が少なすぎたことを反省してたくさん食べておくことにします。個人商店のような小さなコンビニで天然酵母のパン一斤とおにぎり2つという炭水化物オンリーのものを購入して椅子に座ってゆっくりと食べていました。

さて、食べながら地図を確認します。ここから大阪に向かうルートでどこを通ろうかと考えます。このまま309号線を通って行ってもいいのですが、すぐに距離の長いトンネルが2つもあるようだったので、ほかの道を通ろうかなと考えました。そこで48号線で洞川温泉の前を通るルートを通って見ようと考えます。

しかし、ここに来るまでに行者環トンネルから15kmの下りを40分もかけてゆっくりと下ってきており、しかもパンとおにぎりもかなりのんびりと食べていました。そのため、再び自転車に乗って走り出そうとしたときに思った以上に体が動かなくなってしまっていたのです。

洞川温泉へと続く道はすぐに登りになっていました。最初は登ろうとしたものの、あまりにも体が動かないためどうしようかと悩み、結局このルートはやめて309号線へと行くことに決めました。もしかしたらこの後の48号線は登りがあまりないということも考えられますが、トンネルのある309号線のほうが幾分か楽だろうと判断したのです。

洞川温泉への道を200mほど登ったところで引き返して309号線を進みます。こちらもトンネルが見えるまでは若干登りになっており、心の中では「この道も登りなんだろうか」と不安になりました。しかし、すぐにトンネルが見えてきます。新川合トンネルというトンネルのようです。

このトンネルは2700m以上もある長いトンネルでした。幸いにもトンネルの中に入ると下りになっています。よかったよかったと思ってトンネルの中へと進んでいきました。この新川合トンネルの中ではあまりペダルを漕がずに安全運転を心がけて進んでいきました。ですが、この309号線はそれなりに交通量の多い道で、トンネルの中を通っているとかなりの数の車に追い抜かれていきます。トンネルの中がほぼ一直線の下りなので車もスピードが出ており、かなり怖かったです。

一直線であるがゆえにいくら進んでも出口にたどり着かないような錯覚が起こってきます。しかも、トンネルの中なので寒く体がブルブルと震えてきてしまいました。ようやくの思いで新川合トンネルを抜け出した時にはホッとしました。

新笠木トンネル

しかし、すぐに2つ目のトンネルが現れます。こちらは新笠木トンネルという1600mほどのトンネルです。こちらも同じように下りになっています。体も心も冷え切ってしまう思いだったので、このトンネルではもう少しスピードを出してみることにしました。

トンネルの中を55~60km/hほどで下って行っていたのでしょうか。確かにこのスピードならば車に追い抜かれるということはなくなります。しかし、別の問題も出てきます。

新笠木トンネルは少し照明が暗めで私の自転車についていた4000カンデラもあるライトの光をもってしてもこのスピードを出していると視界が悪かったのです。数m先をライトが照らしてもすぐにその地点を通過することになるため、トンネルの中では常に石でも踏んで転倒してしまわないだろうかという不安があったのです。こんなスピードでこけること自体も危ないですが、後ろから車が来たらさらに危険だなと嫌なイメージが頭から離れませんでした。常に数m先の路面をにらみつけて何も落ちていないことを確認しつつ、ペダルを回し続けます。

何とか、無事にこのトンネルもクリアできました。いつになってもトンネルというのは怖いです。ですが、ここを抜けると状況は一変します。非常に快適な下りの道が続いていたのです。

トンネルを抜けた先の309号線は広い道幅があり、路肩も十分すぎる余裕があり、しかもずっと下り続けています。それまで対向車が来れば避けるのも大変な細い下りやトンネルの中でしか下りが無かったので何も考えることなくペダルを回し、スピード感覚に酔いしれながら走っていきました。今回の自転車旅行に来る前はほとんどロードバイクに乗っていなかったのもあり、こんなに快適にスピードを出して安全に走ったのはいつ以来だっただろうと思うくらいです。

本当に下りっぱなしで進み続けます。逆にいうと天川村に向かっていくにはこれをずっと登っていかなければならないのかとも思ってしまいました。そんな心配をするくらい下りが続き、次第に傾斜がなくなって平坦のようになってきました。そしてついに吉野川の近くにまでたどり着いていたのです。

何度か津風呂湖のほうに行ったときにこの吉野川沿いを通って走った経験があります。知った道の近くにまで来たことによっていよいよ今回の自転車旅行も終わりが近づいてきたなという感じがしました。

さて、この辺りでまた少し頭を悩ましました。というのもここから大阪に向かうには必ずどこかの山を越えていく必要があるからです。大きく分けると金剛トンネルのほうを通るか、水越峠のほうを通るかの2通りの選択肢があります。今回の旅行では終始脚を使わないように気を付けて走ってきていたため筋肉痛などは起こる気配はありませんでした。しかし、洞川温泉への道を断念したことも考えると無理はしないでおこうということで、距離が短くてすむ水越峠のほうへ行くことへ決めました。

ということで、吉野川を渡って引き続き309号線を走り続けることになります。少しだけ吉野川沿いの建物の間を通ってから右折して309号線に入ります。

ここは少しだけ登りになっているところがあり、それを越えると水越峠まではほぼ平坦になっています。右折して登り区間に入ったあたりの信号のところで2人組のロードバイク乗りの姿が見えました。信号機の加減で私が先に進んでいたのですが、そのあとこの2人組に追い抜かれます。

「そういえば今回の旅行で初めてほかのローディーに追い抜かれたな」と思いました。しかし、追い抜いた2人のうち1人は軽々と登りをこなしていくのですがもう1人は明らかに遅かったのです。それまでどんな登りでもゆったりと疲れないように走ってきていたのですが、その後ろ姿を見ると自然と「追い抜き返してみようか」といらぬ考えが頭に浮かんでしまいました。

それまで穏やかだった心臓の拍動が急速に勢いを増していきます。が、残念なことにそれまでに距離が離れていたこともあり登りきるまでには追い抜くことができませんでした。下りに切り替わると少し先にコーナーがあり、すでに先行者の姿は見えません。そこで諦めてゆっくりと走るように切り替えればよかったのですが、なぜかここでも追いつき追い越せとスピードを落とさず走ってしまったのです。

急に上がった心拍数に体が驚いていたのが分かります。今回の自転車旅行ではこの区間が一番頑張って走っていたのではないでしょうか。緩いアップダウンになっている309号線を一定スピードで走り、ようやく追い抜くことに成功しました。しかし、問題はここからで追い抜いたとたんに脚を緩めるのはよろしくないだろうということでその後も同じペースを維持し続けます。しばらくするともう1人の人も追い抜いたのですが、私の方はヘロヘロになってしまっていました。

どこか休憩できるところがあれば休もう、次のコンビニまで何とかこのペースを維持して再び追い抜かれないようにしようと考えていたのですが、こういう時に限ってなかなかコンビニが現れないものです。ようやくコンビニが見えてきたときにはすぐに飛び込んでアイスを食べ、ドリンクを1.5リットルも飲みながら30分以上も休憩する羽目となってしまいました。本州最南端旅行15に続きます。

目次

  1. 自転車旅行準備編
  2. 初日に和歌山に入る前にいきなり道に迷ってしまう序盤編
  3. 絶望的な気分に陥るトラブル発生編
  4. バーストを心配しながら田辺へ向かう編
  5. 大きな誤算と刺さる視線編
  6. 椿はなの湯から串本到着編
  7. 貸切状態のドミトリーと露天風呂編
  8. 景色を見ながらの串本から新宮編
  9. 熊野川を眺めながらの快適ライド編
  10. ついに現れた登りとクリート問題編
  11. ライダー宿泊プランと続クリート問題編
  12. 予想外の始まりを告げた3日目編
  13. 目指せ天川村編
  14. トンネルの恐怖と無駄な頑張り編
  15. ラストのゴールと旅行の総括編