島根県輪行旅行4:8つの滝と島根県の洗礼編

島根と大阪の違い

島根県輪行旅行3からの続きです。

続きを書く前に少し訂正です。島根県輪行旅行1~3では自転車旅行に行ったのは2011年と書いていましたが、2010年の間違いでした。そのため、この話は約5年前のことになります。

間違いに気づいて、その後当時のことをいろいろと思い返していたので、ついでにこの当時の私のロードバイクとの付き合いについても少し書いておこうと思います。

初めてロードバイクを購入したのは2009年の7月でした。と言ってもこの時に買ったのは4万円のロードバイクもどきともいうべき自転車で、ほとんどは移動用を主として使用していました。これに変化が起きたのが、2010年の3月です。この3月にアウグーリオがオープンして、顔を出すようになり、そしてサイコンを購入したのです。

このサイコンがロードバイクにはまるきっかけとなりました。サイコンを使うようになってから自転車に乗る頻度が格段に増え、そしてサイコン購入の1か月後にはきちんとしたロードバイクを買いなおすことにしたのです。

2010年5月末に15万円のアルテグラがついたアルミフレームの完成車を購入し、この年の8月に旅行に出かけたということになります。

この当時の私のロードバイクの知識はネットで見かけた「初心者は30km/hを走れるように頑張ろう」というものと「ケイデンスは高めに走れ(90回転くらいを目安に)」という2つが占めていました。これを自分の都合のいいように「アウターは重いから使わず、インナーギアで高回転で走ればいいや」という解釈でとってしまっていました。そのため、インナーで100回転くらいで回して30km/hを出して満足していたのです。

が、30km/hも巡航できていたわけでもなく、信号の多い大阪で信号4~5個に引っかからずに30km/hで走れただけで「30km/hというスピードで走れた」と考えていたのです。そのため、普段は25~27km/hくらいで走っており、それも葡萄坂や太子町道の駅など往復50km位の距離しか走りに行っていませんでした。

そのため、島根県輪行旅行での初日の日御碕灯台への50kmのライドは「旅行に着た割には少し距離が短かったかな?」という程度で、基本的にはちょうどいい距離だったのです。しかし、さすがに2日目のライドではもう少しだけ遠くに走りに行ってみようと考えました。

初日には北の方に行ったので次は南でよさそうな場所はないかと買ったばかりのツーリングマップルを広げて眺めていました。結構悩んだのですが、ふと滝という文字が目に留まります。距離としても行って帰ってくるのは大丈夫そうなところだと思い、54号線のそばにある「竜頭八重滝」を目指すことにしました。

まずは家を出て斐伊川を目指します。この斐伊川の堤防沿いにある26号線(出雲三刀屋線)を進んでいくことになります。

斐伊川というのは出雲地方を流れる大きな川なのですが、神話にも出てくる由緒正しい川だそうです。この斐伊川は古来より何度も氾濫して川の流れが変わったようで、昔の人はこれを竜が暴れているとして斐伊川をヤマタノオロチに例えたのだとか。今では治水されて氾濫することもなくなったようですが、この時の私にとってはまさにモンスターのような存在になってしまいました。

というのも、この26号線は普段大阪で走っている私の中の道路の認識とは全く違っていたからです。とにかくひたすら川の横を走り続けていたのです。建物も自販機も何もない、目に見えるのは空と川ととなりを走る土砂を積んだ大型トラックだけという道をひたすら走り続けます。

この当時、大阪の市街地しか走ったことのない私は数分走れば必ず信号で脚を止められるのが当たり前でした。そのため、少し走ると必然的に休憩できることになっていたのです。しかし、この斐伊川沿いの道では信号すら存在しません。「いつになったら脚を休めることができるのだろう」と思いながらひたすら脚を回し続けていたのです。これが予想以上に体にこたえてしまいました。

信号を見つけるまでは止まらずに行こうと思い走り続けた結果、信号が目の前に現れたのは出発してから15kmも走ってからでした。今まで体験したことの無い状況で、この時点でヘトヘトになってしまっていました。おぼろげな記憶の中ではここまでで40分以上かかっていたように思います。信号が無かったわりにものすごい時間がかかっていることになります。

とりあえず、この信号で三刀屋についており、ここからは右折して54号線(出雲街道)を走ることになります。この時に休憩でもすればよかったのですが、この56号線沿いはあまり休憩できそうな店などが無かったのか、停まらずに走り続けました。少し進むと三刀屋から出てしまい、再び何もない道を突き進むことになってしまいます。

これまたおぼろげな記憶ですが、この56号線はほんの少し勾配のある緩斜面の道でした。たぶん1~3%くらいだと思うのですが、これもだんだんときつくなってきます。途中にあるトンネルを2~3個越えたあたりで、脚が完全に停まってしまいました。どこだかわかりませんが、この時山と畑が広かる景色を見て茫然としていたことだけは記憶に残っています。

とにかく、この状況下では水の確保が最優先になってきました。引き返そうかと思ったくらいですが、先に進めば道の駅があるとツーリングマップルにのっているため何とかそこまで行くことにします。フラフラになりながらようやくたどりついたのが、掛合の里という道の駅でした。

この掛合の里というところはなんと道の駅発祥の場所だそうです。ついてすぐに自販機でスポーツドリンクを購入し、がぶ飲みしながら、「道の駅発祥の地という歴史あるところまで来たんだからもう帰ってもいいんじゃないか」と本気で思いました。が、どうやら目的の竜頭八重滝まではここから6~7kmという距離にあるようです。

ここまで来たのだから目的の場所くらいにまでは行っておこう、と考え直して再出発します。途中平坦になってホッとしたのもつかの間、また緩やかな登りになった途端に失速します。息も絶え絶えといった状態でようやく目的地近くにまでやってきました。

この竜頭八重滝というのは道路沿いにはないため、自転車を降りて歩いて見に行かなければなりませんでした。よく知らずにきましたが、なんでも1.5kmほどの距離で8つもの滝があるようです。自転車を停めて遊歩道のようなところを滝を探して歩いていきます。

最初は歩きやすい道が続いていましたが、途中でだんだんと遊歩道の質が変わってきました。それまでは地面が土だったのが、次第に石や岩に変わってきたのです。比較的小さめの滝を4つほど見たところで、ついに地面が岩だけになっていました。これがロードバイクのビンディングシューズには相性が悪すぎました。

岩の上は滝からのしぶきでぬれていてツルツルと滑るのです。これ以上進むのは危険だと判断して引き返したのですが、若干登り基調の道を歩いていたようで、帰りは滑る道を下るという大変なことになってしまいました。足腰の悪い高齢者のように手すりにすがりつきながら一歩一歩足元を確認して降りていきます。この時に「ビンディングシューズで観光すべきではない。自転車旅行では走ることのみに集中したほうがよさそうだ」と思いました。

何とか無事に自転車を停めたところにまで帰ってくることができました。本当は自転車でここから先に2kmほどさらに進んで右折していくと別の滝というのもあったようです。落差40mもある中国地方随一の滝で余力があれば見に行こうかと考えていましたが、無理でした。当初の目的地まで来たので引き返します。

来た道を戻り、再び掛合の里に立ち寄ります。ここで食事にすることにしました。建物に入ってすぐに売店があります。この売店のおばちゃんが私の姿を見て「君は自転車でここまで来たのかい?すごいね」と話しかけてきました。「自転車でどこから来たの?」と聞かれて少し戸惑います。

大阪から来たと言おうかと思ったのですが、さすがに輪行で来ている身でそう答えるのはおかしいだろうと考え直しました。そこで「出雲市からです」と答えるとおばちゃんの顔は見るからにガッカリした顔をしていました。この辺に住む人にとっては出雲なんて近所にしか思えなかったのかもしれません。関西弁で大阪から来たと言えばよかったかなと思ってしまいました。

さて、そんなことがありつつも食事を済ませたら再び自転車にまたがり走り始めます。行きが登り基調だったので帰りは下りとなり割と楽に帰れるだろうと眼が得ていました。が、これは間違いでした。

三刀屋まで戻ってきて、再び26号線へと入ります。あとはまた川の堤防の道を走って帰るだけなのですが、少し進んだところで完全にダウンしてしまいます。体が完全に動かなくなってしまいました。

どこか休める場所はないかと思いましたが、建物も自販機も全くありません。しばらく我慢して走っていましたが、ついには限界が来たため停まることにします。8月の日差しがきつく、とにかく暑くてたまりませんでした。が、日陰になるものもなかったので、なんと道端に自転車を寝かせて、自分は膝の高さくらいまである草むらにうずくまったのです。

これで何とか体の半分くらいが影になりました。これだけでもほんの少しマシになります。ボトルの中の水を見ると残り少なくなっています。全部一気飲みしたいところでしたが、それをするとこの後が大変になってしまいます。チビチビと水を口に含みます。

帰るまでにはまだ日陰のない炎天下を10km以上走らなければいけません。体が動かないので三刀屋に引き返しても帰れる気がしません。かといって、26号線をそれて違う道に行ったとしても、田畑が広がっているくらいで休憩ポイントが見つかるかはわかりませんでした。仕方がないので覚悟を決めてこのまま真っ直ぐに家まで帰ることに決めます。

ここからは記憶がありませんが、何とか家までたどり着くことができたようです。満身創痍の状態で家についてからは昏々と眠り続けていたように思います。

今から考えるとこの時はオーバーペース・熱中症・脱水状態だったのだと思います。が、経験の浅いこの当時は「頑張って走ったから疲れたのだろう」というくらいにしか考えていませんでした。「なぜ休憩しても体力が戻らないのだろう」と不思議に思うばかりでした。

こうして2日目のライドが終了しました。この日走ったのは80kmほどで、サイコンを確認したときは「もっと走ったんじゃないのか」と思ったことを覚えています。まるで何百kmも走ったような感じでした。大変な一日でしたが、この翌日はさらに大変な目にあるとは考えもしていませんでした。島根県輪行旅行5へ続きます。

目次

  1. 初めての自転車旅行準備編
  2. 初めての輪行移動編
  3. 自転車道と東洋一の灯台編
  4. 8つの滝と島根県の洗礼編
  5. 宍道湖一周とお尻の痛み編
  6. 輪行での帰宅と初めての自転車旅行の感想編