島根県輪行旅行5:宍道湖一周とお尻の痛み編

湖一周

島根県輪行旅行4からの続きです。

この休みは5日間あり、そのうちの4日間を自転車旅行に使って1日は体を休める日として考えていました。島根県までやってきたときは仕事終わりの午後から電車に乗り込み移動しましたが、帰りは1日つぶして移動することにしていたので、実際に走ることができるのは3日間の計画となっていました。

そして、早いものでその3日目の朝がやってきました。前日はどこに行こうかと悩みながら地図を眺めていましたが、3日目の走りたいところはすでに決まっていました。それは「湖を一周する」というものです。

島根県には大きな湖が存在します。その名も「宍道湖(しんじこ)」という湖で、なんでも日本一しじみが取れることで有名だそうです。関西に住むものとしていずれは日本一の琵琶湖を一周したいと考えていましたが、その前にこの宍道湖を一周走っておきたいと思っていたのです。

ツーリングマップルによると初日に出雲大社まで行ったときに通った自転車道というのが、この宍道湖の北側を通って松江にまでつながっているようです。出雲大社まではロードバイクではあまり走りやすいとは言えない自転車道でしたが、せっかくなのでこの自転車道を通って湖を北側からグルリと時計回りに走ることにしました。

朝起きてまずは斐伊川に出ます。2日目は斐伊川沿いの車道を走っていましたが、今度は土手沿いの車のこない自転車道を走って進んでいきます。出雲大社までの道はもともとあった歩道を自転車道という名前を付けただけではないのかと思いましたが、この土手沿いの道はまさに自転車道というべき走りやすい道になっていました。

ですが、出発してすぐに「これはまずい」と思いました。前日の走りで疲れ果ててしまったのか、一晩寝ても全く体から疲れが抜けていなかったのです。やはり後から冷静になって考えてみると熱中症の状態だったのではないかと思います。川沿いの土手の上にある自転車道にはもちろん日光を遮るものなど何一つありません。暑くてたまりませんでした。

が、それ以上に大きな問題がありました。それは「お尻の痛み」です。この当時の私は50kmも走ればかなりのお尻の痛みに悩まされていたのですが、通常ならば1日走るだけで連日走ることが無かったのです。この自転車旅行で初めて3日連続ロードバイクに乗った時にはお尻の痛みは我慢できないレベルにまでなっていたのです。

正直なところ、あまりのお尻の痛みと暑さでフラフラしながら「もう走りたくない。というか走らないほうがいいのではないだろうか」と考えたのですが、「せっかくわざわざ旅行に来たのだから走らないともったいない」と思い無理やりぞのまま走り続けてしまいました。

とにかく「暑い!痛い!」ということしか頭に浮かばなかったのですが、それでも出雲路自転車道を走っていると気持ちはよかったです。右手には背の高い草が多い茂った川があり、左手には畑の中にまばらにある住宅とその奥に見える山というきれいな2つの景色を眺めながら走り続けます。体はつらい状態でしたが、それでも景色を見ながらだったのでなんとか走ることができていました。

この自転車道ではママチャリに乗った男子高校生一人とすれ違った以外は人を見かけないまま走っていました。大和川の自転車道などのように自転車よりも予知できない動きをする子供や高齢者、リードの付いた犬がいない分かなり走りやすいのですが、あまりに人がいなさすぎるというのもさびしいなと思いながら走っていました。が、しばらく走るとこの出雲路自転車道が終わり、431号線という車道に出ることになります。

ここからは片道一車線の割と狭い道路を通って東の松江方面に向かって進んでいきます。どうやら松江まで続いていると思っていた自転車道は一度途切れて「宍道湖湖北自転車道」という別の名前の自転車道があるようでした。

ですが、途中で見つかるだろうと思っていた自転車道がどこにあるのかが分かりません。地図を確認しても明らかに入口を通り過ぎているようでした。結局わからないまま431号線沿いにある「秋鹿なぎさ公園」というところにやってきたので、そこで休憩をとることにしました。

ここは公園という名がついていますが、どちらかというと道の駅のような感じのようでした。トイレに行ってから自販機でペットボトルを購入してがぶ飲みしていました。建物の奥へいくと大きな貸出ボートやカヌーが置いてあります。ここに来るまででも疲労困憊になっている有様で、もうここでボートに乗って帰ってもいいんじゃないかとも考えてしまいました。

そんなことを思っていると、2人のロードバイク乗りがやってきて休憩している姿を見かけました。この当時は大阪でもたまにロードバイクに乗っている人を見かけるくらいだったので、島根にもロードバイクに乗っている人はいるんだなと思ったのが記憶に残っています。今だともっと増えていることでしょう。

さて、休憩を終えて再び走り始めます。431号線を走り始めたのですが、やはりせっかくなので自転車道のほうも走っておこうと思い、もう一度地図を確認します。するとどうやら自転車道は431号線沿いに走っている線路の向こう側にあるようでした。この線路は一畑電車といい、のちに映画が作られたことで名前を知りました。

線路の反対側にわたって走り始めます。ですが、この道が本当に自転車道で合っているのかどうかが分かりませんでした。というのも線路沿いに建つ家の前を通る市道みたいな道だったからです。これならば431号線を走ったほうが走りやすいのではないかと思ってしまいました。が、途中で自転車道と書かれた立札のようなものを見つけ、やはりここで合っているのだろうと進むことにします。

せっかくの自転車道ですがここからでは湖が全く見えませんでした。今どこらへんを走っているのかだんだんわからなくなってきましたが、ついに自転車道は湖から遠ざかるように離れていきます。完全に畑の中を突き進んでいくことになりました。

すると、ここで急に迷子になってしまいました。それまでは自転車道のマークが点在しており、それを追いかけるようにして走っていたのですが、唐突にそのマークが見当たらなくなったのです。とにかく松江を目指さなければと思い、そのまま東に向かって進んでいきます。小高い丘のようになった地形に住宅地が広がっており、この道は行き止まりになっていないだろうかと不安になりながら走っていました。

住宅地の中の登り基調の道を越えて少し行くと、ようやく松江市内の大きめの道に出てくることができました。自転車道は通らずに431号線を走って行った方が多少交通量が多くともわかりやすくてよかったかもしれません。

何とか無事に松江までやってくることができました。ここでちょうど半分ほどの距離を走ったことになります。時刻も昼過ぎくらいになっていたため、どこか昼ごはんを食べられるところを探しつつ、移動していきます。

松江市内は観光客向けのお店が多かったのでスルーして大きな橋を渡り南に移動してきました。が、これは失敗でした。市内であれば道沿いにお店がいくつもあったのですが、急に店の数がガクンと減ってしまったのです。どこかよさそうなところはないだろうか、と思いながらついには9号線に入ってしまいます。ますます何もなくなってきそうな感じだったので、乃木のあたりにあった一件の料理屋に入ることにしました。

ピチピチのレーパン姿が恥ずかしかったのか、カウンター席の一番端っこに座って海鮮丼か何かを食べました。迷った挙句適当に入った店でしたがおいしかったです。が、店を出てからはそれどころではありませんでした。

それまでは何とか我慢できていたお尻の痛みですが、もはや限界に来ていました。休憩をはさんだことで余計に悪化したような気もします。自転車にまたがりサドルにお尻をのせようとしただけで我慢できないくらいの激痛が走ってしまうようになっていたのです。

もはやサドルにのせるどころか、お尻にサドルが触れただけでも痛みが限界値を突破していました。まだ、ここから帰るのならば湖一周の半分が残っているのです。泣きそうになりながら考えて出てきたアイデアは「残り全部ダンシングで走ろう」というものでした。

勿論それは不可能でした。再出発して5分もしないうちに立ち漕ぎできなくなり、少し休めようとお尻を下した瞬間に激痛に襲われます。ロードバイクが拷問器具か何かかと本気で思いました。

あまりにどうしようもなく、頭がおかしくなったのか、再び変なことを考えて実行に移していました。視界に入ったコンビニに入り、雑巾を買ったのです。そして、その雑巾をサドルに巻きつけてなぜか持っていた輪ゴムで固定することにしたのです。サドルが少しでも柔らかくなれば痛みが軽減されると考えたのだと思います。

当然ですが、この作戦も失敗でした。すでに少しでもものが触れれば激痛が走るようになってしまっていたお尻にはサドルに雑巾を巻いた程度では何の効果もありません。それどころか雑巾がずれて動くので逆に乗りづらくなってしまいました。

しかし、このとんちんかんな作戦が失敗したことで逆にあきらめがついたようでした。限界まできていた痛みはこれ以上何をしても改善しないと分かったことで少し気持ちに整理がついたのか、痛いながらでも乗る気が出てきたようです。不幸中の幸いといえるのか、この9号線は交通量が多いだろうと予想していたにも関わらずものすごく車の量が少なかったため、ママチャリ並みの速度に落として亀のようなスピードで移動を続けることにしました。

あまりにお尻が痛く体も熱がこもっていたからでしょうか。この9号線の景色はほとんど記憶に残っていません。気がついたら湖が見えなくなっていました。すでに湖一周を終えていたのです。

そこまで来ると少し元気がでてきました。というもの、この日のライドにはもう一つの目的があったからです。それは湯の川にある温泉に入るというものです。湯の川という地域では温泉が豊富に湧き出ており、そのあたりには温泉旅館がたくさんあります。そこには日帰りで入ることのできる温泉もあり、入浴していこうと考えていたのです。

一度入ってからは毎回島根に来るたびに入浴しにくる馴染みの温泉にやってきます。日本三大美人湯の一つとされる湯の川温泉にゆったりとつかって、風呂から上がってからはマッサージチェアで筋肉をほぐします。疲れた体にはものすごく気持ちよかったです。

ゆったりと癒された後は再び汗臭い服とレーパンを着込んで、日光が降り注ぐ中を走ることになります。天国から地獄へ落とされるような気持ちになりましたが、この時点になるとお尻の痛みはすでに痛すぎて感覚がおかしくなっているレベルになっているのでむしろ気にならなくなっていました。湯の川から祖父の家までなるべく汗をかかないようにゆっくりと帰りましたが、思ったよりは時間はかからずに帰宅することができました。

この3日目のライドの距離は70kmでした。人生で一番お尻が痛くなった日として生涯忘れられない一日になったのではないかと思いました。島根県輪行旅行6に続きます。

目次

  1. 初めての自転車旅行準備編
  2. 初めての輪行移動編
  3. 自転車道と東洋一の灯台編
  4. 8つの滝と島根県の洗礼編
  5. 宍道湖一周とお尻の痛み編
  6. 輪行での帰宅と初めての自転車旅行の感想編