琵琶湖一周旅行2:出発そうそうの予期せぬトラブル編

予想外のトラブル

いよいよ琵琶湖一周の自転車旅行となる2011年の5月末の金曜日。それまでしたことの無かった一人旅ということもあり、ものすごく緊張と不安が入り混じった精神状態で旅に出かけることになりました。

前日は雨が降っていましたが、この日は天気予報通りに雨は止んでおり、何とか無事に出発することができました。朝の8時ごろに出発して走り始めます。

単純に琵琶湖一周と言っても大まかに2つのルートに分かれているようです。琵琶湖には2つの大きな橋が架かっており、その名を近江大橋と琵琶湖大橋といいます。琵琶湖自体をぐるっと一周回ると200kmほどになるのですが、途中にある琵琶湖大橋を起点にして一周回る150kmのコースも琵琶湖を一周したということも多いようです。

が、せっかくの自転車旅行として走りに行くので今回は琵琶湖をすべて回る200kmのコースを通ることにしていました。

以前一度だけ琵琶湖に行った際には、大阪から京都の久御山から大津に入って行っていたため、琵琶湖最南端というのを見たことがありませんでした。そこで、せっかくなので琵琶湖の南端から出ている瀬田川に出るように大阪から走る予定にしていました。

出発してまずは旧170号線を通って北に向かって進んでいきます。清滝峠のある163号線は通らずにさらに北の方へと進んでいきました。この辺りは前回琵琶湖に行ったときにも通った道だったので、割と安心して走っていきます。

大東市を越え、交野市も越えて、枚方市に入ったところにある津田中学校前という交差点で右折して307号線を走ります。この307号線を少し進むとじきに京都市に入って木津川が見えてきました。

この木津川には川に沿って自転車道が通っており、この自転車道をひたすら走っていくと最終的には嵐山のほうまで行けるようです。が、今回は自転車道ではなくさらに307号線を進んでいきました。

この木津川までは何度も走りに来たことがあったのですが、この木津川から山城大橋を越えて向こうへは全く初めて通ることになります。どんな道だろうかとわくわくしながら進んでいきました。

が、川を越えると民家などの建物の数がそれまで違って減ってしまいました。どうやらこの307号線は普通の生活道路とは違うようで、大阪から滋賀の方などへと向かう人の交通のためだけの道というような印象を受けました。問題はここを通った時間帯の悪さです。

時間としては9時を過ぎたあたりくらいの時間でしかも金曜日ということもあり、トラックや商用車など仕事のために思った以上に交通量があったのです。しかも滋賀へと向かうこの道は坂道が多くなり始め、なかなか自転車で走るには向いていないような道だと感じました。

朝っぱらから怖い思いをしながらも、走り続けると分岐点にやってきました。右に行くと307号線ですが、左手に進むと62号線から3号線へと入る道になっています。ツーリングマップルを見ると、この3号線は瀬田川のほとりを走る「峡谷爽快路」と表記されています。ぜひともこの3号線を走ってみようと、左折して62号線を進むことにしました。

ですが、ここで予期せぬ出来事が発生しました。62号線を少し進んで、いよいよ3号線だというところで、道路に人が立っているのです。3号線に入ろうとした私はこの人に呼び止められて「ここから先は通行止めだよ」と言われてしまいました。

何のことかと思って話を聞くと、どうやら前日の雨による影響で土砂崩れが発生したようです。その影響でこの3号線は通ることができなくなっていたそうなのです。

この通行止めという思いもしなかった出来事によって私はパニック状態になってしまいました。この3号線を通って琵琶湖に向かう計画が速くも崩れ去ってしまいました。なにも考えられない状態で今来た道を少し引き返します。茫然と走っていたからか途中で車に轢き殺されそうになりながら、先ほど来た307号線との交差点にまで戻ってきていました。

よく見ると、この交差点のところにも道路の真ん中に人が立っており、さらにその人の隣には看板がありました。その看板にはこの先の3号線が通行止めになっていることが書いてあったことに気がつきます。先ほどは全く気付いていませんでした。

どうやって琵琶湖に行けばいいのか計画が狂ってわからなくなってしまっていた私はとりあえずここに立っていたおじさんに道を尋ねることにしました。「琵琶湖に行くにはどう行けばいいですか」と聞いた私に対してその人は看板に書かれた道路図を指さしながら「307号線を通って朝宮で左折してくれ」といいます。

ですが、ツーリングマップルを見てみると思った以上にその朝宮とやらは遠いところにあり、しかも登りになっていそうな感じでした。ただでさえ、通行止めという予想外のことでパニックになっていた私は、初めて走る150kmがさらに距離が延びるとあって絶望的な気分になってしまいました。

「そんなところは遠すぎる。もっと距離の短い迂回路はないのか」と詰め寄ったのですが、わからないという答えしか返ってきません。おそらく仕事でここにいるだけで、地元ではなく道を知らないのでしょう。それ以上聞いてもどうにもならないのでそこから移動せざるを得ませんでした。

が、この時の気持ちは「もう帰りたい。なぜ自転車で旅行なんかに来てしまったんだ」というものでした。ウキウキとレジャーに出かけたら、サバイバルの世界に放り込まれたかのような気分にすらなり、心が折れかけます。ですが、何とかまだあきらめずに進もうと思えたのは、まだ出発して3時間もたっていないということと、予約した宿のキャンセル料を払いたくないという気持ちからでした。

307号線に入って、先へ進みます。しかし、やはりどうしてもこれ以上走行距離が延びるというのは精神的にも肉体的にも無理だと思ってしまいました。翌日も160km以上走るのにそんな体力の消耗は避けねばならないと強く思った私は、何を考えていたのか307号線の途中で適当なところで左折してしまったのです。

頭の中では左折してショートカットすればその分速く琵琶湖に着くだろうという非常に計画性のない考えでした。しばらく進むと、自分がどこを走っているのか分からなくなってしまっていました。が、それでもとにかく道なりに琵琶湖の方向に通じているであろう道を進んでいきます。

すると、出てきてしまった場所は高速道路の入り口でした。しかも、そこから先は自転車で行けるような道はなくなってしまっています。「もうだめだ、家に帰ろう」と本気で思ってしまいました。

が、不幸中の幸いとでもいうのか、この高速入口に着たおかげで自分の現在地がようやく把握できました。地図を確認すると、京滋バイパスの南郷というところで、よくよく見るとここは3号線を越えたところにありました。少し引き返して3号線を確認すると通ることができそうです。どうやら適当に走っているうちに3号線の通行止めになっている部分を迂回できていたようでした。

これで鉛のように重たくなっていた体に力が戻ってきました。3号線を走り、鹿跳橋という交差点で左折して少し行くと、住宅が見え始めました。まだ琵琶湖ではなく瀬田川のようですが、ようやく琵琶湖の南端に位置するところまでやってこられたようです。

まさか、通行止めなどにあうとは考えもしていなかったため、気力体力を大幅に消耗してしまいましたが、ようやくここで一度目のコンビニ休憩をとることにします。ここまの距離は50kmほどでしたが、すでに100km以上走ったかのようにヘトヘトになってしまっていました。次回に続きます。