大山周回温泉旅行4:ツール・ド・大山のコース後半でのハンガーノック編

疲労困憊

大山周回温泉旅行3からの続きです。

琴浦町から左折して34号線に入ります。ここまでは下り区間が続いていましたが、この先は再び登り区間になっていました。

1車線の道を進んでいきます。この辺りはどうやら林業が盛んなのでしょう。道の両脇には植林された木が植えられて育っており、真っ直ぐに伸びた木ばかりが目に入ります。どうも植林された場所は同じような風景になってしまって面白みが少ないなと感じてしまいます。

が、同じような景色の中でも違いがありました。ここまで下り区間が続いていたので少し休めて、再び元気に登れるだろうと思っていたのですが、どうにもスピードが上がらずに登り勾配の道で時速が10km/hを切るようになってきました。すると、耳元で常に虫の音がし始めました。

私の経験上では6km/hくらいまで遅くなってしまった時は飛んでいる虫(蚊)を振り切れずになってしまうことが多いように感じていました。しかし、この辺りの虫は速く飛べるのか、10km/hで走っていても追走してきて耳元で耳障りな音を出し続けています。関西圏よりも人が通る確率が少ないので、チャンスとばかりに追いかけてくるのだろうかと思いました。

虫を振り切れるほどのスピードが出せなくなってきたので、この辺りの登りでは顔の周りに近づいてくる虫を手で追い払うという不毛なことを繰り返しながら進んでいきます。もう勘弁してくれと思いながら走ります。本来ツール・ド・大山が開催されるのは5月ごろだそうで、その時期ならばこういうこともないんだろうなと思ってしまいました。

クネクネとした道を進み、しばらくすると登った分を下ってから左折し、再び登りが始まります。この辺りになると大山は全く姿が見えず、目の前に出てきた山は船上山という名前のようです。山の斜面は木が生えておらず、そのふもとはダムになっているようでした。どうやらこの船上山を越えていくようです。

途中からは下から見えた木の斜面にある道を通るため、日光が当たり非常に暑く感じました。スピードも出ず、煩わしい虫に悩まされながらもなんとか登り切ります。下りに入った直後に船上山北展望台というところがあったのでここで一度休憩することにしました。

船上山北展望台

ここに来るまでにもたくさんの展望台がありましたが、そのうちのいくつかは景色が見えないだろうというくらい植物が生えているところがありました。この船上山北展望台もそれらと同じように、展望台の柵の向こうは木が生えており何も見えません。その割にここから見える景色をイラストにして解説していたりします。

さて、再びボトルが空になってきたので背中に背負うリュックから水を取り出してボトルに移します。そしてミニパンを取り出して口に放り込みました。いつもならば、もっとこまめに食べているのですが、今回はリュックの中にパンを入れておいたこともあり、取り出して食べるのが面倒でここまででまだ3個くらいしか食べていませんでした。

まあ、もう半分以上は走ってきているので多少食べるのが少なくても大丈夫だろうと考えます。景色が見えるわけでもなかったので、長居はせずにすぐに先へと進むことにしました。

ここから下って行っている時に少し困った出来事がありました。それは表示させているサイコンのルート表示についてです。

道なりに進んできていたはずが、いつの間にかルートを外れてしまっていました。ここに来るまでに一度曲がるべき道を曲がらずに直進してしまっていたこともあり、「また見逃していたのだろうか」と思い引き返します。

が、行ったり来たりと繰り返してみても曲がれるような道はありませんでした。結局サイコンではなくリュックに入れていたツーリングマップルを広げて確認するとやはりそんな道は存在しませんでした。

この表示させているルートはルートラボから「ツール・ド・大山」とキーワード検索して出てきたものを適当に入れていたのですが、これが悪かったようです。おそらく実際の走行データではなく、ルートラボ上でルートを設定したのでしょう。本当はそのまま道を進んで、その先に現れる道を曲がっていくのが正解だったようです。ルート表示には助けられてきましたが、機械に頼りきりもいけないんだなと思いました。

さて、そんなことがありつつも、34号線を走り切り30号線へとやってきました。ここからこの30号線を走って行けば大山寺というところに着くはずです。公式ではそこがゴール地点となるはずです。

もうあとちょっとだと思ったのですが、ここから大幅に失速することになります。

30号線に入ると景色のいい道に出てきます。ここから緩やかな登りをこなしてひとまず一息坂峠というところに出ることになります。が、この緩やかな傾斜で私の体は動かなくなってしまいました。

スピードは7km/h台にまで落ちてしまっていますが、それではしんどく前に進まなくなってしまいます。ダンシングをしても足が棒のようになっていてつらいだけで前に進まず、シッティングでもスピードが上がりません。

頭の中で「こんなに体力が落ちていたのか」と愕然としました。ここまで、まだ60kmほどしか走っていません。最初はツール・ド・大山のコースを2周走っても大丈夫だろうとすら思っていましたが、それどころではなくなってしまいました。しかし、ここ2~3か月は週末は全く走らず、平日も1~2回ローラー台をやれば上出来というくらいだったので、体力がなくなっていても仕方がないことかもしれないなどと考えていました。

青色吐息になりながらもなんとか一息坂峠にやってきます。ここからは若干の下りがあり、香取というところにやってきました。事前に見ていたコースマップではこの香取からは3.5kmほど、真っ直ぐに伸びた登りの道が登場するとありました。ツール・ド・大山の最後の踏ん張りどころという位置づけの場所のようです。

ゆっくりと登れば大丈夫だろうと思って、登りはじめましたが途中でどうにも走れなくなり苦渋の決断の末、足をついて休むことにしました。登りで休むために足をつくのはやはり悔しいものがあります。

が、一息休憩してから再び走り始めてもすぐにいっぱいいっぱいになってしまいます。再び足をつきました。どうにもならないので、リュックからパンを取り出して口に押し込み、水で流し込むようにして補給します。そして、再びペダルに足を乗せて進むことにしました。

しかし、今度は吐きそうなくらい気分が悪くなってきました。直登の道なので、おそらく頂上であろう場所が見えているにも関わらず、全く前に進むことができない状態になってしまいました。4回ほど休憩しても登りきれないので、頂上手前にあるお店の自販機でスポーツドリンクを買って長めの休憩をとることにしました。

頭の中では「こんなはずでは」という思いでいっぱいです。後でStravaで確認したところでは、2.1km進むのに30分くらいかかっていたようです。

休憩を終えて何とか大山寺を目指して進むことにします。大山寺までは行けば、跡や宿までは下りだけになるはずなので、とにかく大山寺まで行けば終了という感じになると思い、気持ちを奮い立たせました。

が、実際はこの直登部分の登りよりもその先の道のほうが地獄を見ました。クネクネ曲がる九十九折れの道が続いているのですが、コーナーの傾斜がだんだんと耐えられなくなってきてしまったのです。

200m進んでは足をつき、100m進んでは足をついて、最終的には50mも進めなくなりました。コーナーの手前で休んでコーナーを越えたら休むというひどい有様です。いくつかのコーナーを越えたときに、道路わきにある小さな標識に「大山寺 4km」と書かれていたときには、もうたどり着けないのではないかと思ってしまいました。

豪円山の夏のスキー場ゲレンデ

数えることができないほどの休憩を繰り返して、ようやくこの九十九折れが終わりました。大山寺の少し手前に豪円山というスキー場のキャンプ地があったのです。ここに自販機とトイレもあったため、ここで休憩をとることにしました。残っていたパンを全部食べ切り、再びスポーツドリンクを飲んで体を休めます。

後から考えれば、この状態というのはハンガーノック以外のなにものでもありません。が、この時はかなり判断力が落ちていたのか、自分がハンガーノックになっているとは考えもせずに、単に体力が落ちたとしか考えていませんでした。そして、この状態は注意力も非常に低下していたようです。

豪円山から少し移動するとすぐに大山寺にたどり着きます。そして大山寺橋を越えれば後は下りだけというところで、ミスを犯しました。

橋の横の方はほんの小さいものですが溝があり、「この溝は危ないな」と思いました。が、後ろから車が来た音を聞き、なぜか危ないとわかっていたはずなのに車に道を譲ろうと横にずれて、自らその溝に近づいてしまったのです。

結果、その溝にタイヤがはまって私の体は自転車の前方に放り出されてしまいました。不幸中の幸いで、スピードが出せいない状態だったのですぐに起き上がることができ、後ろを見ると前輪がその溝にスポッと挟み込まれて後輪が上に来るように、ロードバイクが逆立ちをしている状態になっていました。

「すごい状態だ、写真でも取ろうか」と一瞬考えてしまいましたが、すぐにそれどころではないと考え直して、急いで前輪を溝から抜き取ります。溝にはまっている部分は23cのタイヤが19cくらいまで細くなってしまっていました。タイヤをサイドカットしてパンクしたんじゃないだろうか、と心配しましたが、どうやらパンクはしていなかったようです。

ですが、かわりにタイヤを確認している私の手の指から血が流れ続けていました。ボトルの水で血を洗い流しても止まらないので、アドレナリンが出て痛みを感じていないうちに宿まで走りきることにしました。

大山寺から桝水高原を通ってスピードの出るダウンヒルになっています。頭の中は後悔でいっぱいでした。わざわざ鳥取県まで来て、怪我をするし全く走れないのでは、数日分宿の料金を払ってしまっていますがおとなしく帰ったほうがいいのではないか、などいろんな思いが頭に浮かんできます。

11時20分ごろに宿に到着して、この日のライドは終わりにしました。初日から心身ともにボロボロの状態になってしまいました。次回へと続きます。