大山周回温泉旅行6:天然露天風呂と天然記念物と国産うどん編

車ドライブ

大山周回温泉旅行5からの続きです。

8月17日の月曜日。この日は天気予報で雨予報になっており、当初から走らないことになりそうだと思っていました。目覚ましをかけずに寝て、来たのが5時ごろ。この時間では外を見ると雨は降っておらず、走りに行けるのではないかなと思いました。が、慣れない山で走っている最中に雨が降ってきては危険も大きいだろうと判断して、再び布団の中にもぐりこみます。

次に起きたときには時刻は8時になっていました。ロビーに移動して朝食用に買っておいたパン3種類を食べながら、今日はどうしようかと考えます。出発前から雨が降るのは分かっていましたが、雨が降った時に何をするのかは全く考えていないという無計画さでした。

1人で来ているので観光地に行ってもつまらないだろうし、雨が降るなら景色のいいところに行っても意味がなさそうです。おいしいものでも食べに行こうかとも思いましたが、今食べているパンが思いのほかお腹にたまってパンパンになっているのでそれほど食欲もありません。

どうしようかと考えながらツーリングマップルを覗き込んでいると、この辺りは温泉が多いのだなということに気がつきました。いろいろな温泉が載っていましたが、その中の一つの湯原温泉というところに興味をひかれました。

大山から蒜山高原に移動して、そこから南下したところにある湯原温泉に「砂湯」というところがあります。この砂湯は無料で入ることができる露天風呂で、全国露天風呂番付の西の横綱とされているようなのです。しかも混浴だというので、ここに行ってみることにしました。

出発前に宿の女性管理人さんに会い、「湯原温泉に行ってきます」というと「あそこは橋の上から丸見えだよ」と言われました。「行ったことがあるんですか?女の人も入っている人がいるの?」と聞くと、「あまりにも外から見えるから私なら夜に入るかな」と教えてくれました。あまり変な期待はしないようにして出発します。

車に乗り込んで宿を出て湯原温泉へと向かっていきます。時間もあるので、ドライブでもしようと少し遠回りして走っていきます。一度宿から大山側に上がって桝水高原から45号線を通って蒜山へと向かうことにしました。ツール・ド・大山のコースはなぜか桝水高原をさらに下ってから広域農道を通って、再びこの45号線へと合流するのでどうしてだろうかと思っていましたが、来るまで通ってその意味が分かりました。この道は何か所か沢があり、雨が降ると道路に大きな水たまりができてしまうようなのです。確かにロードバイクでは少し危険な場所なので、コースから外すようにしているのでしょう。

そんな感じで山のクネクネ道を走り、蒜山に出てきてからはこの辺りの主要道路を通って行きました。が、主要道路と言っても交通量は少なく信号の数も圧倒的に少ないため、非常に気分よく走ることができました。あまりにも気持ちよく走れるため、前日のロードバイクでの失速を味わった後だったので「もう自転車に乗らずにドライブだけして帰ってもいいんじゃないか」とすら思ってしまうほどでした。

そんなことを考えているうちに時間が過ぎ、10時ごろに湯原温泉へと到着しました。温泉街の中に入っていき、目についた市営駐車場に車を停めます。駐車場の入口ある建物で駐車料金を払いながら、砂湯がどこにあるのか尋ねます。すると、温泉街の案内図を見せてもらいながら場所を教えてもらいました。

湯原温泉砂湯

年季を感じる温泉街を歩きつつ、砂湯へとやってきました。奥がダムになっており、その下の川のところから温泉がわき出ているようです。川の水から湯気が立ち込めています。橋から見ると右側に当たるところに脱衣場があり、川のそばに3つの露天風呂がありました。ちょうど雨はやみ、ほんの少しだけパラパラと降っているだけなのでさっそく入ることにします。

岩や石を使って湯船を作り、そこは小石が敷き詰められています。歩くとこの小石で足の裏が痛いのですが、下からポコポコと泡が出てきています。どうやら現在進行形でお湯が沸きだしているようでした。3つに分かれていますが、それぞれでお湯の熱さが異なるようです。

この時は露天風呂に孫から爺さんまでの家族旅行らしき人たちなどがいました。私が川の水からも湯気が出ているが水が温かいのだろうかと考えていると、そばにいた男の子が川に飛び込んでいき、「冷たい!」と叫んでいます。どうやら露天風呂以外では普通の水のようでした。

15分ほど湯につかって上がることにします。着替えてあたりを散策することにしました。露天風呂の隣は有料の魚釣り場になっているようですが、断s学生数人がやっているところを見ていると、どうやら天然の魚ではなく一種の小さな釣堀のような感じの釣り場のようでした。しばらく眺めてから、移動を開始します。

駐車場で砂湯の場所を聞いたときに「少し距離が離れているけれど、ここに行ってみなさい。オオサンショウウオが見られますよ」と教えてもらっていたので、そこに行ってみることにしました。歩いている途中で砂湯方面に若い女性3人組が歩いていくのを見て、引き返してもう一度入ろうと真剣に悩んだりしつつ、雨の中を教えられた場所に向かって歩いていきました。

思った以上に遠く、しかも途中からは雨が降ってきたため「オオサンショウウオなんか京都水族館で嫌というほど見れるぞ。なんでこんな遠いところまで歩かなければならないんだ」と心の中で悪態をつきながら、ようやくの思いで「はんざきセンター」というところまでやってきました。はんざきセンターの前は無料の駐車場だと知った時には心が折れそうでした。

そんな感じで全く興味もないのにやってきたオオサンショウウオの施設ですが、これが意外に面白くてよかったです。ただ単にオオサンショウウオを見世物として置いているわけではなく、この地域では昔からオオサンショウウオについての伝承があり、日本でも珍しいオオサンショウウオを祭った大明神が存在し、祭りで使う神輿までオオサンショウウオの形を模しているということで、どちらかというとオオサンショウウオを真面目に研究しているようでした。いろいろな展示している資料を興味深く読んでいましたが、非常に勉強になり楽しかったです。

気がついたらここで45分以上が経過していました。そして、全く気がつかないうちに天気が崩れ、まるで嵐のようになってしまっていました。傘をさしても全身がずぶ濡れになるというほど雨が降り、雷もなっています。

どうしようかと途方にくれましたが、近くの別の建物へ移動してみることにしました。はんざきセンターの隣は元小学校を利用した役所で、最初はここに入って雨宿りしようと考えましたが、さらにその隣の建物の入り口に「図書館」と書かれた張り紙がしてありました。役所よりは時間がつぶせるだろうとこの図書館に行ってみることにします。

建物に入ってみると中はがらんとしており、人の気配がありません。奥に進んでいくと図書館の文字があり、入ってみると小さな部屋に本が置かれていました。半分くらいは児童向けなので、廃校にあった小学校の本を持ってきて置いているのでしょうか。図書館というよりは図書室というような感じでした。

入り口にいる司書さん以外は誰もいなかったので、ソファーに座ってボーっと本を眺めながらウトウトとしていました。2時間近く雨が止むのを待っていましたが、一向にやむ気配がありませんでした。1時半を回ったあたりで、とりあえず雷はならなくなっているので再び移動することにしました。司書さんに「旅行者ですか?気を付けてね」と言われたので、お礼を言って図書館を後にします。

先ほどまでよりはましですが、それでも本降りの雨の中を何とか駐車場まで戻ってご飯を食べに行きます。この湯原温泉からさらに南下したところにあるうどん屋さんへ行くことにしました。ツーリングマップルに「国産小麦100%のうどんの店」と書かれていたからです。

うどんのメッカである四国でも、うどんに使われている小麦はオーストラリア産だと聞いたことがありました。どんな店だろうかと車を走らせます。しばらく道なりに進み、目的のうどん屋さんがある勝山というところにまでやってきました。この辺りまで来るとちょうど雨が上がり始めてくれて助かりました。

目的の店はすぐに見つかったので入ります。2時を過ぎているためか客は私一人でした。メニューを見ていましたが、わざわざ国産小麦にこだわっているのであればおすすめのものがあるのかと思い、「何がおすすめですか?」と尋ねます。

すると、「うちのは各地の小麦を使って、全部風味が違う。全員好みが違うからみんな自分が食べたいものを選ぶんだ。そんな質問はナンセンスだ」と言われてしまいました。そういわれても食通ではない私は困るため、目に留まった釜玉うどんを注文しました。店主からは「ぶっかけうどんのほうが風味がよくわかるのに」と言われます。

さらに小麦の産地を選ぶ必要がありました。これもよくわからないのでメニューの一番上に書かれていたブレンドを頼むことにしました。「全粒粉のほうが風味が分かるのに」と言われます。どうにも当たりを引きそこねてしまったみたいです。

私が何もわかっていないと思ったのか、店主はうどんを作りながらもいろいろなことを話し続け、うどんが出てきて私が食べている間もひたすら食と健康についての話を話しているので相槌を打ちながらうどんを食べることになりました。

いろんなことを話していましたが、結局国産小麦よりもオーストラリア産がうどんによく使われるのは理由があるようです。国産小麦は外国産よりもグルテンが少ないようです。グルテンは小麦同士の接着効果がある成分なので、グルテンの少ない国産小麦は麺が長く作りにくく、コシのあるのど越しのいいうどんにならないようなのです。このお店はそれでも国産のもののほうが体にいいからと、国産にこだわってうどんを作っているようでした。

食べ終えてうどん屋を出てからはこの勝山を散策することにします。まずはうどん屋のある商店街を歩きました。この商店街はすべての店の前に風鈴が取り付けてあるようで、いい音色が鳴り響いていました。変に音楽をかけているよりはこっちの方がいい雰囲気が出ているなと感じました。また驚いたことにこの商店街にはロードバイク専門店もありました。この辺りでもロードバイクの人気はあるのでしょうか。何となく嬉しくなりました。

この勝山では商店街とは別の通りが町並み保存地区となっているようです。昔の面影を残しているようなので、雨が完全にやんでいることもありこの美観地区を歩くことにしました。

何も考えずにボーっと歩いていると、ふと一軒のお店にフラフラっと入ってしまいました。畳二畳分ほどの小さな店で、きびだんごなどの土産物が置いてありました。奥から70歳前後のおじさんが「いらっしゃい」と言って出てきました。特に何を買うつもりもなかったので、置いていないであろうことは分かっていましたが「何か歩きながら食べられるものでもあるかな」と聞いてみました。

すると、「うーん、そういうのは置いてないな。けど包装紙破けば全部食べられるよ」と言います。そりゃそうだろうと思ってしまいました。何となく、この人のことが気に入ったので、「これなんかおいしいよ」と言ってすすめてきた草もちを買っていきました。この時は食べ歩きはしなかったのですが、後で開封したところこの草もちはきな粉がたっぷりとまぶしてあるお餅でとても食べ歩きできるようなものではありませんでした。

そんなこんなでブラブラと適当に散策し続けます。道路をサワガニが横切って歩いていたりとなかなか風情があるところで、のんびりとできてよかったです。ゆっくりと堪能した後は行きに使った道とは別のルートから帰ることにしました。

のどかな道を走り続け、前日も宿の近くまで戻って、前日も利用したスーパーに寄ります。ここでまたその日の晩御飯と翌日の朝ごはん、それとロングライド用の補給食も買い込んで宿に戻りました。帰ってから食事をしてお酒を飲んで、ゴロゴロします。

雨予報のこの日は予定を立てずに来ていたので、どれほどもったいない時間の使い方をするかと少し心配していましたが、思いのほか楽しくのんびりと過ごせました。前日にハンガーノックになった時には、「このまま大阪に帰ろうか」とすら思っていましたが、ゆっくりと遊んだおかげで「やっぱり明日はロードバイクの乗ってみよう」というように考えも変わっていました。思った以上にいい休息日となったようです。次回へと続きます。