自転車事故の紛争を解決する新しい方法

自転車ADRが始まる

昨今は自転車の事故についてメディアなどで取り上げられることがあります。自転車そのものの事故についてもそうですが、最近ですとロードバイクに乗っているだけで「ブレーキがついていないやつだよね」などと言われてしまうくらいです。

2012年の自転車関連事故は約13万2000件とされているようで交通事故全体の2割程度を占めていることになります。このうち自転車と自動車の事故の割合が84.4%で最多となっています。歩行者との事故は、全体の2%、自転車同士の事故は2.5%程度となっています。こうして数字としてみると「少ないのでは」という印象を受けてしまいますね。

ですが、自転車同士や歩行者との事故で裁判となり5000万円近い補償を請求されるケースも出てきているだけに、スピードの出るロードバイクに乗っていると他人事として切り捨てるわけにもいかないでしょう。

一番確実な対処法としては自転車保険に入るということが考えれられます。今までに以下のような自転車保険の記事を書いていますので参考にしてみてください。

さて、自転車で事故を起こした場合に相手ともめたりして最悪の場合、裁判に持ち込んで決着をつける必要が出てくるケースというのがあると思います。しかし、正直なところ誰も裁判を起こしたいと考えているわけではないと思います。できれば穏便に済ませたいところでしょう。

ですが、そうはいっても当事者同士では冷静に話ができずに感情をぶつけあってしまうだけになるよりは、第三者が間に入ってお互いの話を聞いてくれた方が話もまとまりやすいでしょう。

そのようなケースを考えて、今年の2月26日から「自転車ADR」というのがスタートしました。

ADRというのはAlternative Dispute Resolutionの略で「裁判外紛争解決手続」と呼ばれています。これは各分野ごとに設置されるようで、司法機関や行政機関などのADRや業界団体などの民間ADRというのが存在します。

自転車の場合は財団法人日本自転車普及協会が同協会内に自転車ADRセンターを設置しています。ADRでは第三者の専門家が訴訟手続きによらないで調停・仲裁に入って、紛争解決を目指しています。

民間ADRの自転車ADRセンターが実施する自転車事故の対応というのは以下のものになっています。

  • 自転車と歩行者
  • 自転車と自転車
  • 自転車による器物破損

つまり自動車との事故や自転車の構造上の欠陥にかかわる損害補償責任などについては扱っていないというそうです。

流れとしては当事者が調停申し立てを行うと、弁護士を含む3人で調停委員会が設置され、事故当事者からの申し立てに相手が応じた場合、調停委員が双方から事情を聴取して、当事者同士が合意すれば和解が成立します。仲裁は双方の仲裁合意に基づいて、仲裁人が仲裁判断を示します。これを拒否することはできません。

申し立て手数料は消費税込で5250円だそうです。和解成立手数料も当事者の経済的利益の額によって決まるようになっているようです。決して安いわけではないでしょうが、裁判となると大変ですので、こういうものがあるというのは頭の隅に置いておくといざというときに助かるかもしれません。もっとも事故を起こさないというのが一番いいのでしょうが。