3人乗り自転車が転倒して女児が死亡した事故について考えてみた

悲しい事故

今年の2月4日に川崎市幸区で歩道を走っていた自転車に悲しい出来事が起こってしまいました。

その自転車は午前7時半ごろに母子3人で自転車に乗って走っていました。しかし、自転車が転倒してしまい、後部席にいた長女が道路に投げ出されてしまい、踏切のために停まっていたトラックが動き出し後輪にひかれて死亡してしまったのです。

現場の状況は幹線道路の抜け道として使用されている道路で片道一車線。そのため道路の広さは大きくないのに乗用車からバス、大型トラックにショベルカーと通過する車種はいろいろあり交通量も多かったといいます。また、事故現場の近くに踏切があり、渋滞気味になりやすかったといい、車の流れは30km/h程度だったようです。

このように自転車では車道を走りづらい環境だったため多くの人は歩道を通行していたようですが、歩道幅は1.35mで自転車がすれ違うのはやっとだったといいます。また、ところどころに電柱がありその場所では70cmに狭まってしまいます。

事故現場

事故現場

また、歩道は車道よりも少し高くなっていますが、車が沿道の駐車場などに入るために約3mおきに車道と同じ高さになるためにアップダウンが生じていたといいます。

さて、この事故現場を見た自転車政策に詳しいという東京工業大学大学院の鈴木美緒助教は以下のように解説しています(参照記事)。

現場は「事故がいつ起きても不思議のない場所」であったとして、そもそも「自転車走行には向いていない。ましてや子供2人を乗せた自転車は厳しい」と言っています。

そこで事故防止の改善策としては、自転車の車道走行を増やしてすれ違いを減らすこと(路肩に自転車レーンや自転車走行指導帯を作る)と、幹線道路を整備して現場道路の交通量を減らすことだとしています。

これについていろいろと思うことがあるので少し書いてみようと思います。ただ現場を直接見ていませんので写真と参考記事から得た情報を基に考えていますので実際は違う部分もあるかもしれません。

まず、この事故がなぜ起こってしまったかを考えることが大切ではないかと思います。

実際のところ、この事故が起こったのは「自転車が転倒したため」にほかなりません。こけなければ死なずに済んだのは間違いありません。

ではなぜ自転車はこけてしまったのかというと「走り続けられなかった」ためです。自転車がこけないのは車輪が回り続けるジャイロ効果のため車体が安定し、かつ車輪が回った状態でハンドルを操作することによって安定を保つことができます。つまり自転車という乗り物は前に進み続けている限りは安定性が保てるようになっていて、逆にスピードが緩やかになったり、停車時のほうが安定性は悪くなってしまいます。

そして、なぜ走り続けられなかったかというとこの現場では自転車が走るようには設定されていなかったということもあり、もう一つは自転車そのものの問題もあります。

まず、現場の道路で一番問題なのは歩道が狭いことであり、しかもところどころに電柱があるという点です。歩道は1.35mしか幅が無いため対向車が来たときにはすれ違うのがやっとです。つまり、誰かが来た場合はスピードを緩めてお互いをやり過ごすか停車して待つことになります。さらに電柱で幅70cmまで狭まってしまえばその時点で走りにくくなってしまうのは確実です。

また、日本の道路では多くの歩道が車道よりも高くなっていますがこれも問題です。3mおきにアップダウンが発生するようではまともに走れません。

これを解決するために鈴木助教は自転車レーンを設置することとしていますが、むしろ反対のような気がします。というのは歩道の幅を広げて高さも車道と合わせアップダウンをなくすことによって初めて走りやすい環境になると思います(歩道には自転車通行可の指定をしておく)。

自転車レーンは確かに自転車が走りやすくなりそうな気もしますが、歩道と車道に段差がある場合はその段差と後ろから来る車、特にトラックなどによって予想以上の圧迫感があるものです。また、大きな通りならいいですが、このような狭い生活道路の場合は逆走や追い抜きも発生するため結構危険なシーンが増えてしまうと思います。そのため、歩道そのものを整備したほうがメリットが多いでしょう。これは自転車のみならず乳母車や車いす、障碍者などが歩道を歩く際にも安全性を高めるためにもやる必要があると思います。

また、電柱がところどころに立っているというのも改善する必要があるでしょう。電線を地下に通すように変えるだけでもかなり通行しやすい道に変わりますし、景観にもいいかと思います。

さて、ここまでは道路の問題でしたが、自転車そのものにも問題があります。自転車側で問題になるのはその「重さ」です。

ただでさえ子供を2人も乗せているので重たくなっているのですがこの自転車はさらに電動自転車でした。確かに電動自転車はモーターがついているために走る際の労力は減りますが、停車中は逆に重たくなってしまい安定性は悪くなってしまいます。急に車体が傾いたときにとっさに支えきれなかったのかもしれません(あくまで仮定の話ですが)。

個人的に2人乗りや3人乗りする自転車は補助輪をつけるのが一番安定性を高めるのに役立つのではないかと思います。以前3人の利用の自転車が発売されていましたが、値段が高く誰も買わないだろうと思うようなものでしたが補助輪程度ならばコスト的にも安くあがりそうです。

いろいろと書いてきましたが、日本の道路は車優先に考えて作られていますがもう少し交通弱者(特に障碍者)の側に立って作っていけば、自然と自転車にもやさしい道路になるのではないかなと思います。