ビアンキ事件からの教訓を得よう

ビアンキの自転車事件

ビアンキのクロスバイクに乗っていてサスペンションが壊れ転倒してしまい脊髄損傷になってしまった人がいます。この人は自転車そのものに原因があったために、ビアンキなどに訴えることになりました。結果としては東京地裁が輸入元の会社に1億5000万円の賠償命令を下したということです。

さて、このビアンキ事件については知っていたものの、あまり詳細を知らなかったのですが、2010年にTBSで報道された内容をわかりやすくまとめた記事があったためそちらでどのような状況か知ることができました。

(参照)報道特集 ビアンキの前輪が突然脱落

この参照記事があっているという前提でこの問題からロードバイクに乗るものとして何か教訓になるものでもあればと思います。

とりあえずビアンキ事件の状況を引用しながらまとめてみましょう。

被害者

茨城県の中島さん(60)、男性

ビアンキのロゴの入ったクロスバイクのフロントフォークのフォーククラウンが突然抜けて、車輪ごと脱落。前方に投げ出されて頚椎損傷になり首から下が不随となってしまいました。

2002年にインターネットを使用してビアンキの自転車を購入(78000円)。

2008年に事故が発生。

クロスバイクの製造・販売元について

・ブランド:ビアンキ

ライセンスを販売しただけで設計、製造には関わっていない。

・輸入元:サイクルヨーロッパジャパン

輸入通関手続きとライセンス管理のみ。サイクルヨーロッパグループの会社。サイクルヨーロッパはビアンキの親会社に当たる。

・販売元:アキボウ

企画=設計もとい部品指定。2004年まではNBS(=アキボウ)がビアンキの日本輸入総代理店。

現在はアキボウではビアンキブランドの取り扱いは無い。今回の事故車は当時のNBS企画商品であり、当時のイタリア本家のラインアップには無いモデル。

・車体組付け:台湾穂高

車体組立を受託しただけで部品の品質保証をする立場には無い。ネジの締め忘れ等であれば相応に責任があるが、今回はそういう原因では無い。

・部品供給元:RST

台湾の自転車用サスペンションメーカー、値段に見合った部品を作る

事故原因

車両関係の民間安全検査機関に調査を依頼。

事故原因としてはサスペンション内部にたまった水が外部に排出されず、そのサスペンションと直接つながっていた左右のスプリング2本が腐食して折れたことが原因。

このサスペンションはインナーチューブとアウターチューブを接続している部品が金属バネだけという構造になっていた。

バネが折損しても大丈夫なように、ロッドが通っていれば防げたとのこと。

ロッドを組み込んだ構造のサスペンションフォークも少なくない。

被害者の自転車管理について

クロスバイクは雨の日には極力乗らずに、保管は雨が直接当たらない玄関または縁側に保管していた。しかし、雨の日に使用することが無かったわけではない。

メンテナンスはタイヤ、チェーン、ブレーキなどを行ていた。

サスペンションについては定期メンテナンスの指示が無かったため行っていなかった(6年間)。

事故車両についていたサスペンションについて

サスペンションそのものを製造しているのはRST社。今回の件ではどうかが分からないが、RSTのサスペンションフォーク付自転車の場合は車体メーカーの取説にはフォークの取説がついているとのこと。

RSTの取説ではメンテナンス不足が事故につながる恐れがあることに言及し、定期メンテナンスが必要と説明。

また、保証対象外となるものとして、「通信販売(インターネット含む)」「正規販売店からの転売(出荷日時が明確にならない場合」「出荷日時が根に上経過している場合」「改造その他誤用された場合」となっているようです。

しかし、このRST製のサスペンションには不具合が確認されており、別の販売ブランド自転車(アキコーポレーション)で危険が2007年時点に告知されていたとのことです。

それぞれの意見

中島さん側

自転車はビアンキというブランドが老舗で、イタリアの職人が作ったものだと思い信頼して購入した(実際の製造が台湾と知らなかった)。少なくとも設計はビアンキが行っていると思っていた。

サスペンションの定期メンテナンスの指示はなかった。また、サスペンションの不具合報告なども知らされていなかった。

ビアンキ側

ビアンキはブランド名を販売しただけ。

アキボウがそのサスペンションを選び製造して、ユーザーがその製品を選んで使用しただけ。

東京地裁の判断

中島さんが輸入元の「サイクルヨーロッパジャパン」に約1億6000万円の損害賠償を求めて提訴。

東京地裁はサイクルヨーロッパに対して1億5000万円あまりの賠償を命じる。

判決で、東京地方裁判所の白井幸夫裁判長は「事故は振動を和らげるための『サスペンション』と呼ばれる部分が上下に分離したことで起きたと推定でき、自転車に欠陥があったと認められる」と指摘。

教訓

以上がビアンキ事件の概要です。裁判結果はとりあえず確定するまで待つとして、一人の自転車乗りとして自分が同じ目に合わないためにも気を付けておくべきこと、知っておくべきことがあると感じました。

まず、一番重要なことに「ブランド名に惑わされない」ことです。いくら老舗のブランドであるといっても現在はほとんどのブランドがアジアの工場で作られています。また、単にブランド名をのせただけで自社で自転車を作らずとも利益が入るようなシステムを作り上げたのが「有名ブランド」ですので、ブランド名そのものが自転車にとって何の補償にもなっていないといえます。

ホントか嘘かわかりませんが、20万円以下の自転車はブランド名をのせただけの他社製品などと言う意見もあるようなので、注意が必要かもしれません。

また、自転車はインターネットで購入はせずにしっかりとショップで店員と話をして購入するほうがいいと感じます。通信販売では保証対象外になる部品があるというのも知っておいたほうがいいでしょう。

先ほどのブランドの話にもつながりますが、ブランドが責任を持って販売している自転車というのは「インターネット販売を禁止」しているものがほとんどです。これは顔の見えないインターネットでの販売ではなく、ショップでの対面販売のみにすることによってブランド価値を高めるという意味もあるようです。そう考えるとインターネットで売っている自転車というのは総じて危険性が高いのかもしれません。

メンテナンスについては「チェーンに油をさして、パンクを修理することがメンテナンス」とは思わないことです。これはただのお手入れにすぎません。

本当の意味でメンテナンスとなるとその自転車をオーバーホールできる技術が必要と言えるのかもしれません。事故が起きて脊損になってからいくら賠償されても後悔は尽きないでしょう。1~2年に1回は必ずオーバーホールしておいた方がいいのかもしれません。しかし、オーバーホールもショップで依頼するとかなりの金額になることも予想されるので78000円程度のクロスバイクではなかなかやる人もいないのが現実ではないかと思ってしまいます。その意味でも自分でできたほうがいいかと思います。

そのほか、取扱説明書はきちんと読むことも大切だと感じました(当たり前ですが)。

私は今まで自転車の取説など読んだことがありません。自転車に乗ることができるため読む必要が無いと思っていたからです。しかし、自転車にはそれぞれパーツがありそれを組み立てて一つのものとしてできているため、パーツごとにきちんと注意を払うことが大切です。一度でも取説を読んでおき、やらなくてはならないこと、してはいけないことを確認しておく必要があるということです。

そのほか、パーツごとに不具合報告が出ることもありますので、そちらにも注意を払っておかないといけないと感じました。しかし、これはなかなか難しいのでやはり信頼できるショップで購入して定期的に顔を出して自転車を診てもらっておくようにしておいたほうがいいのだろうと思います。

こうしてみると自転車とはもっとも身近な乗り物ですが危険の高い、取り扱いには注意が必要なものだということがよくわかりました。事故の原因は製品の不具合や販売元の対応にありますが、やはり事故が起こってからでは後の祭りになってしまいます。自分でも十分に気を付けておかないといけないなと改めて思いました。