ロードレースにおける「位置取り」について

専門用語

ロードバイクにはいろいろな楽しみ方がありますが、ロードレースもその楽しみのうちの一つです。自分で走るのも楽しいのでしょうが、自分では到底できないであろう走りをプロ選手が競い合って走っているロードバイクレースを見ているとドキドキと興奮してくるものです。

しかし、ロードバイクのレースではたいていの場合100km以上の距離を何時間もかけて走り、ゴール前や勝負どころになる山岳などでスパートをかけて相手を引き離すため、見ている側としてはそのポイント以外は赤の他人がサイクリングしている姿を見ているだけのようにも感じてしまうものです。

Jスポーツで解説している栗村監督もどこかで書いていましたが、ヨーロッパから送られてくる国際映像を無音の状態で3時間見ろと言われたら苦行以外のなにものでもないといっていましたがまさにその通りでしょう。そのため、テレビなどで放送される映像は多くは勝負どころが見れるだけの中盤から終盤に始まることがほとんどです。

そのため、実際には行われている選手やチームによる駆け引きなどは素人目にはよくわからないのが実際のところでしょう。ですがやはりレース現場では常に選手はお互いの力の限り競い合っているようです。

このことがよくわかるのが日本の選手が本場のヨーロッパで行われているレースに出場したときに出てくるある単語から読み取れます。

先日シマノレーシングの選手がオランダに飛び、本場のレースに出場してきたようです。その際に各選手がブログでこのように報告していました。

入部正太郎選手

オランダに来てから今日までで4レースに出場しました。

結果としては4レースともDNFです。

風、スピード、位置どり、道幅、石畳、レース展開の全てで洗礼を浴びています。

正直ショックを受けました。もっといけると思っていても結果はご覧の通りで、まさにヨーロッパの自転車レースの世界をこの身体で感じています。

安井雅彦選手

この土日に2レースを走って来ました。

結果は、、、両方150kmくらいで失格。完走できず。

先週のレース含めて一度も完走すらできていないという状況。

こっちのレースは風も強くて道も狭く、位置取りがホントに重要。

しかし頭ではわかっていてもこれがなかなかできない。

少しずつ良くなってる気はしても、まだまだ全然。

とにかく自分のできることを全部出しきるしかないですよね。

なぜベストをつくさないのか

こっちでのレースも残り1つとなったので、とにかくたくさんのことを学んで帰ります。

吉田隼人選手

ヨーロッパ遠征も次が

最後のレース

やっと位置取がわかってきたけど、

すごい危ないね!

こっちの選手は

ぶっとんだり、コースアウトしてしまう

選手みて

笑ってるけど

全てがすごいね!

このように「位置取り」という単語が出てきます。私は位置取りという言葉の意味は次のように解釈していました。

ロードバイクはスピードが上がれば上がるほど空気抵抗が大きくなってしまいパワーロスにつながります。そこでドラフティングと言って他の選手を風よけにして走ることで空気抵抗を減らして無駄な力を使わずに走ることができます。また、レース中のような集団で走っているときには少なからず落車の危険性があるため、なるべく落車が起こりにくいような位置で他の選手を風よけにして走れる位置を見つけることが位置取りであると思っていたのです。

しかし、実際にはもっと複雑な言葉だったようです。

これは木下智裕選手のブログでの説明ですが本当に意味での位置取りというは次のようなことを指しているようです。

勝負所の登りで攻撃に加わり、先頭グループに入ることが、理想の展開。

しかし前半のアップダウン区間で集団についているだけで苦しく、気がつくと一番後ろに居るようなことが何度もあった。

アップダウンのきついコースを始め、負荷の高いコースでは一度下がると再び集団前方に上がるのに物凄く苦しまなければいけない。

焦って上がろうとしてもダメ。よく集団内の流れを感じて、その流れに乗らなければいけない。これが自転車レース用語で「位置どり」というやつです。

要するに単に楽に安全に走れる集団内のポイントに陣取るのが位置取りではなく、集団全体を見渡して集団の流れを把握して、その流れを利用していかに勝負所で力を発揮できるようにするかが本当の「位置取り」ということでしょう。

こう考えると、レース中には一瞬でも気を緩める暇などないことがよくわかります。これからはロードレースを観戦するときにはこの位置取りについても考えながら見てみればもっと楽しめるのではないかと思いました。また、日本人選手がもっと本場ヨーロッパで活躍するためには日本でのロードレースでもこの位置取り争いを行えるレベルまでにロードレース界全体がレベルアップする必要があるのかなと思います。