ドーピングについて思うこといろいろ

ドーピング問題

日本ではあまりメジャーとは言えないロードレースのことですが、それでも最近あったランス・アームストロングの過去の記録抹消などについてはニュースなどで報じられています。

まずはこのアームストロングのことについて簡単にまとめておきましょう。

ロードバイクに興味のないという人でも「ツール・ド・フランス」というロードレースを聞いたことがある人は多いと思います。ツール・ド・フランスは言わずと知れたロードバイクはおろか世界的にもかなり規模の大きなスポーツのイベントだといわれています。

今はほとんど日本では取り上げられませんでしたが、かつてはハイライトなどを放送していたことがあります。そして、その時期に最強最速の選手として君臨していたのがランス・アームストロングです。彼はこの大会で勝てばロードバイク選手の世界一と認められるともいわれるツール・ド・フランスで7連覇を成し遂げたという驚くべき記録を持っていました。

しかし、最近になってその驚くべき記録が抹消されてしまったのです。その原因はドーピングについてでした。

USADA(アメリカアンチドーピング機関)という組織がかねてよりランス・アームストロングのドーピングを疑って捜査しており、何度か裁判を起こして法廷で争っていたのですが今までは決着がついていませんでした。それが今年の中ごろを過ぎて、再びUSADAが法廷に訴えたところランス・アームストロングが「もうこりごりだ、私はこれ以上無意味に法廷で争い続ける気はない」として法廷の場に立つことをやめたのです。

当然、法廷に出席しないというのことになればいくら無実を訴えたとしても裁判では負けることになります。現実、そのことがありランス・アームストロングのツール・ド・フランス7連覇という記録は抹消されてしまいました。

ちなみに、この問題はランス・アームストロング本人だけでなく、当時同じチームで監督やスタッフとしてドーピングに加わっていたとされる人や、同チームに在籍していてドーピングについて証言した人などがロードバイク界から追放や処分を受けています。

ほかにも問題は波及しており、たとえば20年近くロードレースのチームにスポンサーとしてロードレース界を支え続けたラボバンクという銀行などは今回の件でスポンサーを撤退したりもしています。

ドーピングの問題点

さて、スポーツ界においてドーピング問題というのは切っても切れないものとして昔から存在しています。オリンピックやメジャーリーグなどでもその対策に試行錯誤しています。

その中でも特に問題としてよく取り上げられるのがロードレースです。これはなぜかというと、ドーピングによるレースへの影響がかなり大きいことが挙げられます。

たとえばメジャーリーグなどであれば、ドーピングとは「筋力増強剤」が一般的です。薬によって短期間に通常よりもパワーをつけることによって成績を伸ばそうというものです。しかし、いくら筋力が付いたところでバットをポールに充てる技術がなければ成績が伸びることはありません。

これに比べてロードレースではドーピングの効果がそのレースにかなり大きな影響を与えることになります。というのも多くのレースでは150~200km近く走り続け、体力がなくなってきたレース終盤に有力選手が力を振り絞り勝負を争います。その際、薬によって残った体力以上に力を発揮できてしまうのがロードレースでのドーピングなのです。いうなれば覚せい剤のようにいくら体が疲れていても目が覚め続けているような状態です。本来の力以上のものが出てしまい、レース当日にドーピングすればその日のうちに効果を発揮するというのは野球などではあまりないことといえます。

このようにロードレースではドーピングの使用によって成績に影響が出てしまい、その影響の多さから使用する人が増加してしまいました。そうなるともはやスポーツとして成り立たなくなってしまいます。そのため、ドーピングを規制しようという流れになるのは当然であるといえます。

どのように規制するのかというとその日使ったら効果が現れるのであれば、その日のうちに検査をするしかありません。そこでレース前に検査をしただけでは不十分とされ、レース中にもドーピングしていなかったかどうかを調べるために、レース終了直後にも検査を行うようになっています。

さらにもっとドーピングをなくそうとなってきて、夜中に抜き打ちで検査をしたり、あるいはレースのない休暇中にも選手がどこにいているか報告しなければならないようになってしまいました。さすがにこうなるとやりすぎではないかという声も上がってきます。

そもそもの話として、ドーピングの廃絶にはレース結果そのものよりも大切な役目として「選手を守る」ために行われるはずでした。というのも、先ほど書いたようにドーピングは覚せい剤などに似ているのです。つまり、ドーピングを行いレースで優秀な成績を収めていた選手が突然死してしまうということが起こるようになっていたのです。このように、レース結果のために選手が無理にドーピングを行ったり、あるいは選手が知らないうちにチームが選手の食事や飲み物に薬物を混ぜていたこともあって反ドーピングの流れができたのです。

しかし、現状ではこのドーピング規制に対していささかやりすぎではないかと思ってしまいます。ドーピングを防ぐためだけけに選手の人権を無視したような検査方法や、あまりにも厳しすぎる検査が問題になっています。

それは、「選手が治療できない」という事態にもなってしまっています。たとえば、ツール・ド・フランスでは21ステージを休憩日を少しはさみながらですがほとんど続けてレースを行います。当然、その日によって選手の健康問題も変わってきます。ある選手が風邪を引いたとしましょう。通常一般人であれば風邪を引いたら薬を飲んで仕事などを行うことでしょう。しかし、選手には風邪薬すらも使えません。風邪薬を使うと鼻の通りがよくなり、呼吸を助ける効果があるというのでドーピングに引っかかってしまうのです。

また、レース結果に影響のない薬でもドーピングとして引っかかることもあります。今年のツール・ド・フランスでシュレク選手がドーピングとして引っかかったものとして「利尿剤」がありました。この利尿剤というのは尿がよく出るようになる薬ですので使ったからといってレースに影響はありません。しかし、利尿剤を使うことで薬物を尿から流している可能性があるということでドーピングに引っかかってしまうのです。

このように非常に厳しすぎるドーピング検査によって、ロードレースでは1年後にドーピングが判明したとして優勝者の記録が抹消されてしまうことも珍しくはなくなってしまいました。このようなことがずっと続いています。

レースの勝者が後になってコロコロ変わるというのはスポーツとしてやはりいいものではないと思います。いい加減、ここらでもう一度ドーピング規制について考え直したほうがいいのではないかと思います。せめて、ドーピングの基準を「選手の生命・健康を害さないこと」に変えるだけでもいいのではないかと思います。これからもロードレースの一ファンとして純粋にレースが楽しめるようにしてほしいなと思いました。