天川村・洞川温泉の通行止めライド

知らない道を走る

高野山に登った後の話です。

余裕を残しつつ高野山に登ることができたので、いつものように登ってきた道を引き返すのではなく少し違う道を走りに行くことにします。この体の状態ならば護摩壇山にも行けるかもしれないと一瞬考えましたが、当初の予定通り高野山から天川村方面へと向かうことにします。

高野山を抜けて少し行くと、371号線に通じる道から53号線へと別れるところがあります。ここを右折して進んでいくことにしました。この53号線を通れば天川村に行けるというのは知っているのですが、どのような道になっているのかは全く知らなかったので、ここからは無理せず疲れないペースで進むことにします。

53号線に入った最初のうちは道もきれいで広かったのですが、じきに1車線の細い荒れた登りの道となります。淡々と登っていきますが、道の横には木が生えているため若干薄暗い道でした。すでに時刻は8時を回っていましたが一応ライトを点灯させて進むことにします。

この道は左手の視界が少しだけ開けているのですが、その視界にはいくつもの山々が広がっておりきれいでした。たくさんの山を見下ろしながら気持ちよく走っていきます。

桜峠を越えて天狗木峠というところにまでやってきました。どうやらここがちょうど標高1000mくらいになるようです。1000m地点にまで来るのは1年ぶりくらいになるのではないでしょうか。ここで道が二手に分かれています。出発前に確認したおぼろげな記憶ではどちらの道でも天川村に行けたはずだったので、今回は左に曲がってみることにしました。

あとで確認すると53号線は右に曲がるのが正解だったようです。左折して入った道はそれまでの登りの道から一転して、ものすごい下りになっていました。ブレーキをかけっぱなしで下っていきます。もしここでブレーキのワイヤーでも切れたら帰れなくなることは間違いないだろうなと考えながら恐る恐る下って行きました。この道はあとでツーリングマップルで確認したところ「雲海景観地」と書かれていました。早朝に来れば眼下に雲を拝めたのかもしれません。

しばらく急な坂を転がり落ちるように下っていくと、再び53号線に合流しました。どうやらこの53号線は高野天川線というようです。小さな集落を抜けつつ、2車線で走りやすい道を進んでいくことになりました。

この辺りからは下り基調のアップダウンといった道になっていました。が、思いのほかスピードが乗りません。どうやら風向きが向かい風となっているようです。この辺で無理して風に対抗するようにスピードを出してしまうと体力の消耗が大きすぎるかと思い、心拍数が145前後になるくらいのペースで省エネ走行を心がけます。

中原橋

細かくシフトチェンジを繰り返しながら進んでいくと、橋が見えてきました。中原橋という橋のようです。なかなかきれいなところだったので写真をパシャリと撮っておきます。この橋を渡ると道が一時168号線となっていました。ここを左折していきます。

この168号線もなかなか走ったら楽しそうな道だったので、どうしようかと少し悩みます。が、やはり当初の目的通り天川方面へと向かうべく、右折して再び53号線へと入っていきました。

が、ここから先の53号線はお世辞にも走りやすい道とは言えませんでした。道は1車線になり、細かな起伏がある荒れた道でたまに対向車も来ます。しかも今回はこの53号線を走っている間中ずっと向かい風が吹いていました。道が荒れているのでスピードを出さないように走っているつもりだったのですが、この向かい風も影響して気づかないうちにだんだんと体力を奪われていきます。

ゆっくりと天の川を眺めながら走っていきます。走りながらこの辺りに住む人はどんな仕事をしているんだろうと思っていると、しばらく進んだ先にキャンプ場が現れ始めました。そこそこの規模がありそうなキャンプ場がいくつも登場します。どうやらこの辺りはキャンプ地になっているようでした。

連続してあるキャンプ地を抜けて少し建物も見え始めてきます。全く土地勘なしで走っているのですが、この辺りでいったいいつになったら天川村の309号線との交差点が見えてくるのかとじれ始めてきてしまいました。とにかくいつまでも向かい風が吹いているため、スピードが20km/hちょいくらいしか出ていません。早く着いてくれと心の中でぶつぶつと言いながら脚を動かし続けます。

向かい風の中を走り続け、ようやく変わった建物が見えてきます。天の川温泉センターがありました。どうやらもう少し行けば交差点まで行けそうです。一定ペースで走り続けようやく天川村の交差点へとやってくることができました。

サイコンを確認して少し驚きます。高野山からこの309号線との交差点まで50kmほどの距離があったのですが、その間信号が一つもありませんでした。1車線が多く少し道が荒れているのが難点ですが、向かい風でさえなければものすごく気持ちよく走れるコースなのではないかと思いました。

そんなこんなで時刻は10時になっていました。ここまで補給がおにぎり3つとパンを食べていましたが、足りそうにないので補給をしておくことにします。この309号線は1年前に自転車旅行で通った道だったので迷わず個人商店のコンビニまでやってきました。ここで天然酵母のデニッシュパンを一斤買い、すべて平らげておきました。

さて、20分ほどかけてゆっくりとパンを食べながら少し考えます。ここから家に向かうのであれば309号線を走れば帰ることができます。が、以前自転車旅行でこの道を通った時も309号線を通っています。どうせならば違う道を通りたいと考えました。

実はその自転車旅行の時は309号線ではなく21号線を通って洞川温泉というところを経由していく予定でした。が、この21号線が思いのほか登りそうな雰囲気だったため、その時は309号線を通ったのです。今回も向かい風で思いのほか疲れ始めてきていたので、あまり登りたい気持ちはなかったのですが、やはりせっかくなので洞川温泉を通って走ってみることにしました。

休憩を終えて21号線を通って行きます。これが私が思っている以上に勾配のある道でした。というのも、完全に歩行者や自転車が通ることはないという前提のもとに道路を作っているようで、九十九折りになっているコーナーのイン側などはかなりきつい勾配になっていたのです。この辺りからインナーローでダンシングをして脚を使わないように進みました。

しばらく九十九折りの道を登っていくとトンネルがあり、そのトンネルから先は少しだけ勾配が緩みました。この辺りもゆっくりと登っていたのですが、後ろから来たロードバイク乗りに追い抜かれてしまいました。追いかけて脚を使うことの無いようにして、引き続きのんびりと自分のペースで進みます。

が、しばらくすると一度姿の見えなくなっていたそのロードバイク乗りに追いつきました。その人は立ち止まってスマホを触っているようでした。その時は停まっているところを追い抜いてもまた抜かれてしまうんだろうなと思いつつ、そのまま道なりに進んでいきます。

少し進むと洞川温泉が見えてきました。洞川温泉については全く知りませんでしたが、なかなかよさそうな温泉街といったところでした。道路のわきに温泉宿や土産物屋が並んでいるのですが、店などから出てくる地元の人があちらこちらでワイワイと話しており、活気のある温泉街という印象を受けました。一度泊まりに来てもいいかもしれないと思いつつ、登っていきます。

道なりに進んでいくとだんだんと道が細く荒れてくるようになりました。そういえば先ほど追い抜いた人はまだ追い抜かしてこないな、どうしたんだろうかと思いつつそのまま登っていきます。

が、なんと登って行った先は行き止まりになっていました。正確にはまだ道が続いてはいるのですが、林道になっており自転車が走れる雰囲気ではありません。いったいこれはどうしたことだと自分のいる位置を確認します。最初はサイコンの地図をみましたが、画面が小さくてわかりづらかったのでスマホで確認することにします。

するとどうやら道を間違えてしまっていたようです。この時はいったいどこで間違えたのか分かりませんでしたが、とにかく引き返すことにしました。せっかくそこそこの距離の登りを登ってきていただけに大きなタイムロスとなってしまいました。しかし、下りながら建物や標識の文字などを読むと「女人結界」とか「仙人の山」などと書かれています。どうも修行僧が来るようなところに迷い込んでいたようでした。

地図を確認しながら道を引き返していきます。どこまで行くのかと思えば、温泉街すら引き返すことになりました。そして右折します。どうやらずっと21号線を走るのではなく、途中から48号線へ行かなければいけなかったようです。

が、この48号線でも思わぬ出来事に直面します。少し進んだ先に、道の真ん中に看板が立っていたのです。立ち止まってその看板を読むと「この先のトンネル、完全通行止め」となっていました。どうやら、この先にある照明すらもない小南峠トンネルが通れなくなってしまっているようなのです。

休憩時に悩んだ結果この道を通ることにして、ここまで延々と登ってきて道を間違えた上に通行止めになっているのは思った以上にショックでした。どうしようもないので一度天川村の交差点まで引き返して、今度こそ309号線を通って帰ることにします。

ずっと登ってきただけあって、今度はずっと下って行ったのですぐに交差点のところにまで戻ってきました。ここから309号線にある距離の長い2つのトンネルを通ることになります。以前来た時はこの数kmにも及ぶトンネルで何台もの車に追い抜かされて怖かった経験があったので、今回は最初からスピードをあげてササッと抜けるつもりでした。

が、結構な下りのトンネル内の道をペダルを回して下っているにも関わらずスピードが35km/hまでしか出ません。どうやらトンネルを風が吹き抜けているようで、その風が向かい風となってスピードアップの妨害になっているようでした。そのため、今回も多くの車に追い抜かされて怖い思いをしました。

2つ目のトンネルも以前は55km/hは軽く出て、暗いトンネル内でスピードが出すぎて怖いくらいだったのが、今回は頑張っても42km/hまでしか上がりませんでした。道を間違えて通行止めに当たった時点でテンションが少し落ちてしまっていましたが、ここのトンネル内の強烈な向かい風で完全に心が折れてしまいました。

トンネルを抜けてしばらく下っていくところもスピードが出なかったため、ちょっと休憩をとろうと思い、吉野路黒滝という道の駅にピットインすることにしました。

ですが、この道の駅でもいっぱい食わされます。自転車スタンドが置いてあったのでロードバイクにやさしい道の駅だなと思ったのですが、ゴミ箱が存在しなかったのです。そのことに気がつかずにペットボトルだけでなく缶ジュースまで買って飲んでしまった私はゴミを背中のポケットに詰め込んで走らざるを得なくなってしまいました。シカ肉の串焼きや猪肉のコロッケなど変わったものを売っている屋台もあり、興味をひかれたのですが、においのきついゴミをポケットに入れるのはさすがにためらわれたので買わずに道の駅を後にすることにしました。

ここからはずっと309号線を通ることになります。吉野川を越えてさらに309号線を走って冨田交差点のコンビニまでやってきました。このコンビニで最後の休憩をします。ここまでくればあとは水越峠を越えて大阪に入るだけです。特に急いで帰ることもないので、このコンビニ内にある座席に座って1時間以上ボーっと休憩をとっていたようです。朝早く出て走っていたので、少し寝ていたのかもしれません。

たっぷりと休憩をとって多少体力も回復したので水越峠は頑張れるかなと思っていました。が、水越峠の側道に入ってすぐにチェーン落ちしてしまいました。珍しいことにロー側にチェーンが落ちてしまいました。すぐに直ったものの後はインナーロー固定でチンタラ登って峠を越えることにします。

水越峠を越えて道なりに進んで石川・大和川の自転車道を通って帰路につきます。最後はもっと失速するかと思っていましたが、ペース配分がうまくいったのか、それなりの速度を出して最後は気分よく家に帰ることができました。

出発前にグーグルマップで調べた距離は170kmだったのですが、結局210kmのライドとなりました。想定以上の長距離になってしまいましたが、何とか無事に帰りつくことができました。2か月前は170kmでダウンしていたので、だんだんと走れるようになってきているのが分かったのでよかったです。暑くなるまでもう少しロングライドを楽しんでいこうと思います。