第5回堺浜ナイターエンデューロ2:スタート直後の集団と単独追走編

苦手な集団走行

第5回堺浜ナイターエンデューロ1の続きです。

スタートラインに並んでいよいよエンデューロの始まりが近づいてきます。7時45分からスタートということでアウグーリオのメンバーとコースの右端に一列に並んで待っていました。

去年出場したときには3人チームの3番手ということで、このスタート直後の集団にはいませんでした。どんな感じになるのだろうかとわくわくしながら待ちます。

この日は夜になっても気温が高く、寒さの心配はあまりなさそうです。去年は10月19日に開催され、ものすごく寒かったことを考えると天と地ほどの差があるといってもいいほど暖かかったです。

堺浜ナイターエンデューロのコース

堺浜ナイターエンデューロのコース

いよいよスタートの時刻になりました。が、いきなりよーいドンで走り始めるわけではなく、最初の1周はローリングスタートになるようです。あまり急ぐことなく、前に並んでいたUさんの後ろに着くように進んでいきました。

とりあえずどう走っていこうかと考えます。ローリングスタートの時点ではUさんにぴったりとついて走っていこうかとも思っていました。ですが、いざスタート地点を越えるころになるとその考えはなくなってしまっていました。なぜかというと「集団で走るのが怖かった」からです。

普段一人でのんびりと走っている私にとって左右から追い抜かれたり、追い抜いて行ったりという集団内部の動きがとにかく苦手だったのです。最初こそUさんの後ろに着こうとクネクネと追い抜いていこうとしていましたが、すぐにあきらめました。まずは集団内部でのストレスを減らすことに集中せざるを得ませんでした。

まず、やったのはコースの一番右端によって走ることです。これで私を追い抜く人は左からだけになるからです。また、急に前の人が減速したり進行方向を変えたときにも落ち着いて対応できるように前方へのスペース確保を多めにとって走ることにします。

が、この位置もあまり走りやすい場所ではなかったようです。それはこの堺浜エンデューロのコースが時計回りだったためです。コーナーのたびに周りから「ブレーキ!!!」という声が飛ぶ中、減速して曲がるのが走りづらかったため、何周かしたころに位置取りを変えることにしました。

今度はなるべくコースの左側によって走ります。これでコーナーではほぼブレーキを使わず、減速せずにこなすことができました。ブレーキを使うのは唯一ある90度コーナーくらいでしょうか。それもだんだんと集団が縦に長く伸びてくるころにはようやく落ち着いて走れるようになってきました。

それにしても本当に集団走行が苦手で困りました。というか人の後ろについて走るのが怖く感じてしまいます。本来ならば前を走る人の後ろについて空気抵抗を減らして楽して走るべきなのでしょうが、どうにも怖い感じがするので斜め後ろくらいを走ってしまったりしていました。空気抵抗をもろに受けてしまっていますが、もう安全には変えられないとあきらめざるを得ませんでした。もっと集団走行に普段から慣れておかなければならないと強く感じます。

そんなことをしていると、後ろからポンと腰を触られます。なんだろうと思って後ろを振り向くと、アウグーリオから出場していたKさんが「後ろにいてるよ」と声をかけてくれました。全く気がついていませんでした。さらにその後Kさんは前に行き、中切れし始めている我々の集団の先頭に立ち、前をひき始めました。「すごいぜKさん。頑張ってください」と後ろから見つめたりというシーンなどがありつつ、安全第一で集団走行をこなしていきました。

さて、10~15分ほどそんな状態で走っていたのでしょうか。だんだんとストレスなく走れるようになってきました。これは慣れてきたというよりは集団が落ち着いてきたことの影響が大きいのでしょう。中切れを繰り返した結果、私のいる集団は20名程度の規模のものになっていたのでしょうか。これが非常に走りやすい集団だったのです。

ちょうど私と同じくらいのスピードで走るメンバーが自然に集まったという感じで、変にペースを上げ下げするようなこともなく、コーナーもスムーズにこなしていきます。ちょっと落ち着いてきて、ようやく自分がここまでボトルの水を飲んでいなかったことに気づきました。走っているとどうもゴールライン手前くらいで飲みやすいタイミングがあったので、それからは毎周そこでボトルの水を一口含むように心がけます。

この集団で走りながらボーっとメンバーを観察します。だいたい同じくらいの脚力ではないかとは思うのですが、その中でも白色ジャージの人と黄緑ジャージの人が安定した走りをしているように感じました。安定というか安全というか、安心して後ろについて走れるという印象を受けます。この集団でずっと安定した走りをしていけたらいいなと思い、ペダルを回し続けます。

しかし、しばらく続いたこの平穏はある出来事を境に崩れ始めてしまいました。それはスタートから30分ほどが経過してのことです。後ろからけたたましい音を鳴らしながら通過していくものが現れました。これは先頭集団を先導しているバイクが鳴らす音だったのです。

それまで左側通行で追い抜きながら走っていた我々の集団は右側によって先頭集団が通過するように道を開けて走ることになります。この時、私はのんきに「30分で1周ラップされたということは3時間だと6ラップくらいだろうか」などと考えていました。この後の展開を全く考えていませんでした。

先頭集団が追い抜いて行っても、その後も我々を追い抜いていくものがいます。先頭集団から千切れた小集団などがそうです。これが問題でした。

それまで一定ペースで安定して走っていた我々の集団の中から、追い抜いていく小集団に飛びつくものが出始めたのです。ただでさえ道を譲るために右に左にと移動してペースが乱れ始めたところで、この動きが重なりあっという間に集団はちりぢりとなってしまいました。気がつくと私の周りには、私と同じように取り残された人間と他から合流してきたものだけになっていました。再び脚の合わないメンバーだらけの集団になってしまったのです。

最初こそ、その集団で走っていましたがやはりどうもリズムが合いません。仕方がないので、それならばいっそ自分のペースで走ってみようかと考えました。それまで集団内部でも一人列を乱して走り、空気抵抗にさらされていたので、それならば前に人を置かず走ったほうが安全でいいだろうと思ってしまったのです。

そこで、とりあえずいい集団が見つかるまでは自分のペースで走ることに決めました。前だけを見つめて走り始めます。

しばらく何も考えずに走り続け、何周か走ってからちらっとサイコンの画面に目を落とします。スピードはおおよそ40km/h前後出ており、心拍数は180を超えていました。今月実走を走った時に全く前に進まない感じが強くあったことを考えるとかなりスピードが出てくれていますが、この心拍数ではとても最後まで持たないだろうなと思いました。しかし、当初の計画で1時間頑張って走って、その後のことは考えないようにしようと思っていたので気にせず走り続けることにしました。

スタート開始から45分ほどが経過したころでしょうか。また、一つの出来事に出くわします。それは落車でした。落車と言っても私が転んだわけではなく、コース上で見かけた側です。90度コーナーを越えてゴール地点までの直線のところで3人ほどが落車したのです。

ちらっと見ると1人は肩を抑えて苦痛に顔をゆがめていました。こんな何もない直線でもやはり落車は起こってしまうのかと思い、ぞっとしました。また、同時にこけている人を見ても気にせずに走り続ける自分にも驚きます。大丈夫だろうかと心の中で心配するだけで何もできませんでしたが、次の周回では姿がなかったので大丈夫だったのだろうと決めつけてそのままさらに走り続けます。

さて、そんなことがあり、さらに自分の身は自分で守らねばと思いながら走っていると、なんと脚を攣ってしまいました。攣ったのは右脚のふくらはぎです。急に攣ったのですがそのままペダルを漕いでいれば治るかと思いましたがそうはいかず、サッと手信号で前に行ってと合図を出しつつコースの右側によります。ほかのところならばともかく、ふくらはぎを攣るというのはペダリングがおかしいのではないかといろんなことが頭に浮かんできました。

立って脚を伸ばしつつ、ちらっと後ろに目をやります。すると今まで気がつきませんでしたが私の走っていた後ろは結構人がいたようです。一列棒状になってちらっと見ただけでは最後尾がどこかわかりませんでした。

攣った足を延ばしながら、これはどこまで下がればいいのだろうかと思っていたら、3番目にいた人が後ろに入れと手でサインを出してくれました。攣った脚を引きずるようにして後ろにもぐりこみます。

さて、これからどうしようかと思考をめぐらせます。すると私を後ろに入れてくれた人が「ローテーションを回していきましょう」と言います。ローテーション?それは私も頭数に入っているんだろうかと思ってしまいました。とりあえず様子を見ることにします。

その時、先頭を走っていたのは少し小柄な男性でした。1分くらい走っていたのでしょうか、なんと急にペダルを回すのをやめてしまいました。後続はあわてて避けて走ります。これはローテーションは回らなさそうだと感じます。何度か走り、その都度先ほどの男性が急に失速するのを繰り返したので怖くなってしまいました。先ほど攣った脚も軽く痛む程度に落ち着いてきていたので、攣ってから2周もしないうちにまた自分のペースで走ることに専念することにしました。

前の3人を横から追い抜いて走り始めます。とにかく安心して走れる集団を見つけて合流するまでは風を受けて走ってもいいやと淡々と回し続けました。

スタートから1時間10分くらいになるころでしょうか。ちょっと私のペースが落ち始めたかなと感じていたころに一つの集団が見えてきました。12名くらいいるのでしょうか。何となくよさそうなペースで走っている感じがしたのでそこに合流することにしました。

合流した集団について走りながらふとその中に見覚えのある後姿がありました。それは最初に安定して走れると感じていた集団にいた白色ジャージの人と黄緑色ジャージの人だったのです。先頭集団にラップされてからは姿を見なくなってしまっていましたが、こんなところにいたのかと思いました。

最初からこの2人に置いていかれないようについていっていればここまで苦労しなかったのだろうかとも思いましたが、正直もう追いつけないだろうと思っていただけにうれしくなりました。また、この2人がいるのを見て何となく自分の目が間違っていなかったのだろうかとも思いました。次からはこれはと思った人には迷わずついていくのがよさそうです。

エンデューロはようやく3分の1が経過した段階ですが、すでに体力が残り少なくなってしまっています。しかし、この集団に追いついたことによってさらにハードな展開が待っていました。次回に続きます。